【年金が減るってウソ?】60歳から働き続けると損?在職老齢年金の基本をわかりやすく解説

定年後の働き方

「年金をもらい始めたら働かない方がいい」「年収が増えたら年金がカットされる」と聞いて、せっかくなら年金をもらいながら働きたいのに……と不安に思っていませんか?

ご安心ください。年金が減らされるのは、一部の収入が多い方だけ。ほとんどの人は、年金を損することなく、働き続けることができます

この記事では、年金をもらいながら働く方が知っておきたい「在職老齢年金」の仕組みを、難しい言葉を使わずにわかりやすくお伝えします。

いている時の年金(在職老齢年金)とは

どのくらい収入があれば年金が減らされるの?

③働き続けるとこんなメリットもある

④まとめ:老後も安心して働くためにまとめ

そもそも「在職老齢年金」って何?

会社員や公務員として働きながらもらう年金を「在職老齢年金」といいます。これは、現役世代の時に働いて厚生年金に加入していた方が対象となる制度です。

「在職老齢年金」は、働いて得ている収入の金額によって、年金が一部、または全額カットされることがあるので「年金が減らされる」と言われるんですね。

ちなみに、自営業やフリーランスの方は、働いても年金が減らされることはありません。

年金が減らされるのはどんな人?

年金が減らされるかどうかの基準は、「もらう年金の額」と「働くことで得られる収入の額」の合計額で決まります。

その合計額が、ある一定の金額を超えた場合に、年金が減らされることになります。

収入の計算方法

「収入」は、以下の2つの合計額で考えます。

  • 毎月の給料標準報酬月額*以下説明)
  • 過去1年間のボーナスを12で割った金額

この合計額が、年金の減額の基準となります。

ポイント! 給料には、基本給だけでなく、残業手当、通勤手当、家族手当などもすべて含まれます

標準報酬月額とは?

 厚生年金保険では、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額と税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てた標準賞与額(厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算します。

標準報酬月額の等級を調べるための総支給額は、基本給だけでなく、残業手当・通勤手当・役付手当・勤務地手当・家族手当・住宅手当なども対象となります。

標準報酬月額は、原則として4~6月の3カ月間の給与の平均額をもとに決定し、その年の9月から翌年8月まで適用されます。

給与の平均額に応じて、厚生年金保険の場合は32段階の等級に分けられ、その等級ごとに標準報酬月額が定められています。

*標準報酬月額はねんきん定期便(はがき裏面)でも確認できます。(以下、ⓕ欄に記載)

       引用:日本年金機構「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」

参考記事ねんきん定期便の見方

ねんきん定期便の見方
ねんきん定期便は専門用語ばかりでよくわかないと思ったことございませんか。結局、年金はいくらもらえるの?と悩んでいる方も多...

減額の基準となる金額

2024年(令和6年)からは、年金と収入の合計が「50万円」(令和6年度)を超えると、年金が減額される可能性があります。

この合計額が50万円以下の場合は、働いても年金は減額されません。

どのくらい収入があれば年金が減らされるの?

たとえば、毎月14万円の年金をもらっている方の場合で考えてみましょう。

  • 月収が34万円未満なら年金は減らない                                    14万円(年金) + 34万円(月収) = 48万円 年金と月収の合計が50万円を下回るので、年金は減額されません。
  • 月収が38万円になると年金が少し減る                                14万円(年金) + 38万円(月収) = 52万円 合計が50万円を超えているので、減額される可能性があります。この場合、減額されるのは「2万円÷2=1万円」となります。収入の合計は、年金から1万円引かれても、月額51万円に!働き続ければ、年金だけの時よりも収入が大きく増えます。
  • 月収が64万円以上になると年金が全額ストップ                                年金と収入の合計がかなり高くなると、年金が全額ストップしてしまうこともあります。しかし、月に64万円以上の収入があるのは、かなり高収入の方に限られます。

働いて収入が増えても、年金が減った分で損をするということはないので、ご安心ください。

参考記事:日本年金機構 在職老齢年金の計算方法

働き続けることの大きなメリット

Pension saving money concept with white background.

「年金が減らされるかもしれない」というデメリット以上に、働き続けることで得られる大きなメリットが3つあります。

メリット① 将来もらえる年金が増える

会社員や公務員として働き続けると、年金保険料を支払い続けることになります。その結果、将来もらえる年金額は確実に増えます

厚生年金は、働いた期間が長ければ長いほど、もらえる金額が増える仕組みです。60歳から65歳までの5年間働くことで、一生涯もらえる年金が年間約7.6万円増えるという試算もあります。(※)

(※)あくまで試算であり、個人の状況によって変動します。

メリット② 収入が増える

年金をもらいながら働けば、年金と給料の2つの収入源を確保できます。年金が減額されても、手取りの合計額は増えるので、生活にゆとりが生まれます。

メリット③ 社会とのつながりを維持できる

働くことで、社会とつながり、誰かの役に立つ喜びを感じることができます。仕事を通じて新しい価値観や目標を見つけることも、豊かなシニアライフを送るための大切な要素です。

サラリーマンおよび公務員は働いている間は厚生年金保険料を払い続けることになりますので、将来もらえる年金額は確実に増えることになります。

まとめ:老後も安心して働くために

在職老齢年金について、ご理解いただけたでしょうか?

  • 年金が減らされるのは、収入が高い方のみ
  • 年金と収入の合計が50万円以下なら年金は減らない。
  • 自営業やフリーランスの方は、働いても年金は減らない
  • 働き続けることで、将来もらえる年金が増えるという大きなメリットがある。

厚生労働省のデータによると、65歳以上の年金受給者のうち、年金が減額・停止されているのはたったの16%です。

もし働き続けることが可能であれば、年金を気にせず、積極的に働き続けてみましょう。収入が増えるだけでなく、心と体の健康を保ち、充実したシニアライフを送ることができます。


いかがでしたでしょうか? この記事が、皆さんの年金生活を考える上で、少しでもお役に立てれば幸いです。もし気になる点や、さらに詳しく知りたいことがあれば、お気軽にご質問ください。

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