シニア世代のための賢い老後資金術!「2000万円」貯めなくても大丈夫な理由とは

資産の取崩し方

日本の高齢者の方々の間で、将来のお金に関する不安が広がっているという調査結果があります。特に女性の方で不安を感じる人が多いようです。最近の物価の上昇や、以前話題になった「老後2,000万円問題」といった話を聞いて、「そんなにたくさんのお金を貯められるわけがない」と諦めてしまう気持ちになるのも無理はありません。

でも、ちょっと待ってください。実は、すべてのお金を貯め込む必要はないんです。大事なのは、貯めたお金をただ持っているだけでなく、「上手に使いながら、減らさずに長持ちさせる」こと。これができれば、大きな金額を貯めなくても、安心して老後を過ごすことができます。

大切なのは、2000万円を貯め込むことではなく、今あるお金を上手に「取り崩しながら使う」ことなのです。そうすることで、無理のない「ファイナンシャルゴール」(お金の目標)を立てることができます。

この記事では、老後のお金を賢く使うための「資産の取り崩し方」を、難しい言葉を使わずにわかりやすくお伝えします。

なぜ、多くの人がお金を貯めすぎているのか?

総務省の調査によると、65歳以上のご家庭では、平均して2,504万円ものお金(預貯金や株など)を持っているそうです。そのうち、なんと1,600万円以上は「預貯金」として銀行に眠ったままです。

この金融資産の大きく占める預貯金は、年齢が高まっても残高にほとんど変化がなく、85歳になっても資産の減少率は1割台半ばに留まっています。

これは、「長生きしてお金が足りなくなったらどうしよう」という不安があるからでしょう。万が一に備えて、お金を減らさないように、と考えるのは当然のことです。

しかし、銀行に預けているだけのお金は、ほとんど増えません。せっかく貯めたお金が、今の時代では物価の上昇で実質的な価値が下がってしまうことさえあります。

そこで大事なのが、ただ貯めておくのではなく、株式や債券等の有価証券で資産を運用することで、「お金にも働いてもらう」という考え方です。

「老後2,000万円問題」の本当の意味

「老後2,000万円問題」が話題になったとき、「2,000万円も不足するなんて大変だ!」と、多くの方が不安になりました。

しかし、この話の本当の狙いは、「年金だけでは足りないので、貯めたお金を運用しながらうまく使っていきましょう」というメッセージでした。

つまり、ただ漠然と2,000万円を貯めることがゴールなのではなく、老後の生活を豊かにするために、お金を賢く使う準備をすることが大切だということです。

そこで、ここからは「お金を運用しながら取り崩す」具体的な方法を3つご紹介します。

資産を長持ちさせる3つの取り崩し方

貯めたお金を上手に使うには、主に3つの方法があります。

毎月同じ金額を使う「定額取り崩し」

これは、毎月決まった金額を生活費として引き出す方法です。

メリット: 毎月使う金額が決まっているので、生活の計画が立てやすいです。

デメリット: 資産を運用している場合、市場が下がっているときも同じ金額を引き出すことになり、お金の減りが早くなってしまうことがあります。

例えば、運用の前半(元本が大きい時期)に市場が好調の場合は、毎月決まった額を取り崩しても元本がほとんど減りませんが、運用の前半に運用結果が低かったり、マイナスだったりすると、元本が大きく減ってしまい、仮に、後半に収益率が回復しても、すでに元本が大きく減ってしまったあとでは資産が回復する力が弱まっており、資産寿命が尽きるのが早くなってしまいます。

つまり、毎年の収益率がどんな順番でやってくるかによって、資産残高が大きく変わってしまうというリスクがあることをしっかり認識する必要があります。

毎月、資産の割合に応じて使う「定率取り崩し」

これは、その時点での資産の総額の「何パーセント」という割合で引き出す方法です。

メリット: 資産が減れば、引き出す金額も減るので、お金が長持ちしやすいです。

デメリット: 資産が変動するので、毎月受け取る金額が変わってしまい、生活費の計画を立てるのが少し難しくなります。

たとえば、資産が1,200万円あるときに8%引き出すと月に8万円ですが、資産が600万円に減ると、引き出す金額は月に4万円に減ってしまいます。

2つの良いところを組み合わせる「ハイブリッド型」

資産が大きい前半は「定率取り崩し」で一定率ずつ受け取り、資産がある程度減ったら「定額取り崩し」に切り替える方法です。

  • メリット:
    • 老後の早い段階で、海外旅行や趣味など、やりたいことにお金を使いやすくなります。
    • お金が減ってきた後半は、生活費が安定するので安心です。
  • 考え方:
    • 例えば、資産が1,200万円あるうちは「定率取り崩し」で年に8%(月8万円程度)を引き出す。
    • 資産が半分の600万円になったら、月5.5万円の「定額取り崩し」に切り替える。

このようにすれば、前半は比較的多めにお金を使え、後半は安定した生活を送ることができます。また、定年後も少し働いて収入を得ることで、この方法をさらに柔軟に使うことができます。

大きなメリットして、前半を「定率取り崩し」をすることで、前半に比較的多くのお金を取り崩すことができ、定年後にやりたかったことや実現したかかったことに有効にお金を使うことができます。

お金は「使う」から価値が生まれる

資産を「取り崩す」と聞くと、なんだか不安に感じるかもしれません。しかし、せっかく貯めたお金を、使わないまま残してしまうのはもったいないことです。

アメリカでベストセラーになった『DIE WITH ZERO(ゼロで死む)』という本があります。この本は、「お金を使い切ってから死ぬのが理想だ」という考え方を提案しています。

例えば、1,000万円を貯めて、そのお金を使わずに亡くなったとします。それは、1,000万円分の素晴らしい経験や思い出を得るチャンスを逃したということになります。

お金を貯めることの本当の目的は、「不安をなくすこと」や「やりたいことを実現すること」のはずです。

貯めたお金を使って、新しい趣味に挑戦したり、大切な人と旅行に出かけたりする。そうした経験こそが、人生を豊かにしてくれます。

まとめ

老後の資産は、たくさん貯めることだけが目的ではありません。「運用しながら賢く使う」ことで、幸せな生活を送ることができます。

「定額」「定率」「ハイブリッド」の3つの取り崩し方を知り、自分に合った方法を見つけましょう。

一番大切なのは、「何のためにいくら使うか」という目的をはっきりさせることです。

これが明確になり、さらに3つの取り崩し方を知ることが、あなただけの「ファイナンシャルゴール」につながります。

お金は使うことで価値が生まれます。 資産を計画的に取り崩して、あなたの人生を豊かにする経験に使いましょう。

まずは、少しでも早く「運用しながら取り崩す」ことを考えてみませんか?そうすれば、きっと老後の不安が小さくなり、もっと前向きな気持ちになれるはずです。


いかがでしたでしょうか? この記事が、皆さんの年金生活を考える上で、少しでもお役に立てれば幸いです。もし気になる点や、さらに詳しく知りたいことがあれば、お気軽にご質問ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました