【要注意!】「一攫千金」を狙う短期売買(デイトレード)の落とし穴:あなたの資産を守るために知ってほしい3つのリスク

資産運用

皆さま、こんにちは。お金に関する話題は、いくつになっても気になりますよね。

特に「老後資金を増やしたい」という思いから、手軽に始められる株式の短期売買(デイトレード)に興味を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、一見手軽に見えるデイトレードには、実は大きな「落とし穴」があります。プロの投資家も手を焼くこの取引の「危ないところ」を、私たちの身近な例を交えて、わかりやすくお話しします。

🙅‍♀️リスクその1:相手が儲かれば、自分が損をする「ゼロサムゲーム」

デイトレードって何?

デイトレードとは、株や外国のお金(FX)などの金融商品を、その日のうちに買って、その日のうちに売り切ってしまう取引のことです。何日も持たずに、短時間で利益を出すことを目指します。

相手はプロの投資家やAI

デイトレードの取引は、勝つ人がいれば、必ず負ける人がいるという、「ゼロサムゲーム」です。これは、宝くじや競馬などのギャンブルと同じ仕組みです。

競馬で隣の人が大勝ちしたら、それはその人が他の多くの馬券購入者からお金を「取った」ということになりますよね。デイトレードも同じで、あなたが儲けたら、それは誰かが損をしたお金です。

そして、デイトレードであなたと取引している相手は、市場の情報を瞬時に手に入れ、高度な技術を使う「プロの投資家」や「高性能なAI(人工知能)」かもしれません。

プロは、私たちが新聞やニュースで知る前に、企業の重要な情報を手に入れたり、AIを使って一瞬で判断を下したりします。私たちが本業や趣味の合間に投資をしても、情報も時間も持っているプロを相手に勝ち続けるのは、極めて難しいのです。

「トイレトレーダー」にご用心

投資が気になりすぎて、仕事中や外出中に「今どうなっているだろう?」と何度もスマホで株価を確認してしまうことを、投資家の間では「トイレトレーダー」と呼ぶこともあります。

これでは、本業や大切な用事に集中できなくなり、精神的な負担も大きくなってしまいます。たまに勝てたとしても、それは「まぐれ」であることが多く、同じことをしても同じ結果が出せる「再現性」はほとんどありません。

📉 リスクその2:売買のたびに減っていく「手数料」の重み

回数を重ねるほど損しやすい構造

宝くじで全財産を失う人は少ないですが、競馬やパチンコで借金をしてしまう人がいるのはなぜでしょうか?

それは、売買や賭けの「回数」が多いからです。

デイトレードも同じで、一日のうちに何度も株を売ったり買ったりできますが、取引をするたびに「売買手数料」がかかります。たとえ一回の手数料が安くても、回数が重なると、あなたの利益をどんどん削っていきます。

短時間の勝率は「五分五分」

この方法は年間90%勝てる!」という派手な広告を見かけるかもしれません。しかし、その「勝率」を細かく見ていくと、こうなります。

  • 「1年で90%」勝っていたとしても
  • 1日で見ると、勝率は54%程度
  • 1分間の売買で見ると、勝率は50.17%と、ほとんど五分五分です。

つまり、短い時間で何度も取引を繰り返すほど、「サイコロを振るのと同じ」になり、手数料の分だけ、かえって損をする可能性が高くなるのです。

🧠 リスクその3:私たちの心を惑わす「感情」という大敵

「損をしたくない」という強い気持ち(プロスペクト理論)

私たちは、利益を得た時の喜びよりも、損失を出した時の痛みを2倍も強く感じることが、行動経済学(人が実際にお金を使う時の心理を研究する学問)でわかっています。これをプロスペクト理論と呼びます。

この心理がデイトレードで悪さをするのです。

  1. 利益が出ている時:「せっかく増えた分が減るのは嫌だ!」
    • → 利益が小さくても、すぐに売って利益を確定させようと急いでしまいます。
  2. 損失が出ている時:「損を確定させるのは嫌だ!いつか元に戻るはず…」
    • → 損失がどんどん膨らんでも、「損切り(損を確定して売ること)」ができず、株を抱え込んでしまう(いわゆる「塩漬け」)ことが多くなります。

このように、デイトレードでは、「自分が買った時の価格」を基準に一喜一憂してしまい、冷静で客観的な判断ができなくなってしまうのです。

騙されてはいけない「サバイバーシップ商法」

皆さんは、「サバイバーシップ・バイアス(生存者バイアス)」という言葉をご存知でしょうか?

これは、「成功した人や物(生き残った人)」だけを見て、「私も同じことをすれば成功できる!」と誤って判断してしまう心理的な偏りのことです。

投資の世界では、途中で失敗して市場から消えていった多くの人や商品を無視して、「たまたま成功した少数の人」だけを取り上げ、「このやり方なら儲かる!」と勧誘する「サバイバーシップ商法」があります。

例えば、「7日間連続で株価の予想を当てます」と謳う商法です。

  • まず、200人に「上がる」「下がる」を半々でメールします。
  • 2日目には、当たった100人だけに、また「上がる」「下がる」を半々でメールします。
  • これを繰り返していくと、7日目にはたった1人か2人ですが、「7日連続で当たり続けた人」が残ります。

この残った人は、「このシステムは本物だ!」と強く信じ込み、高額な情報商材を買ってしまうのです。これは、「たまたま生き残った人」だけを成功例として見せられたために起こる錯覚です。

甘い言葉には、裏があると疑ってかかる慎重さを持つことが、大切です。

🕰️ 成功者が知っている「投資のタイミング」の真実

デイトレードのように、毎日市場の動きを見て「今がチャンスだ!」とタイミングを計るのは、プロでも至難の業です。では、どうすれば資産を増やせるのでしょうか?

ここでは、投資のタイミングについて、5人の架空の投資家が、20年間、合計240万円(毎年12万円)を運用した結果を比べてみましょう。

投資家の種類やり方年間の平均リターン(利率)20年後の結果(およそ)
① 理想的な積立家毎月1万円を、好成績のインデックス商品に積立年7.0%約524万円
② 一括投資家毎年1月1日に12万円をまとめて好成績商品に投資年7.0%約517万円
③ 堅実な積立家毎月1万円を、平均的なインデックス商品に積立年6.5%約494万円
④ 不運な積立家毎月1万円を、やや成績の悪い商品に積立年5.0%約413万円
⑤ 現金主義者毎月1万円を、銀行の普通預金に預金年0.001%約240万200円

※この計算は、過去の長期的な市場の動きを参考にしたシミュレーションであり、将来の結果を保証するものではありません。

大切なポイントは「時間」の力

この結果からわかることは、「デイトレード」の必要性がないということです。

  1. 「今が底値だ!」とタイミングを当てる技術は、資産を大きく増やす上でほとんど必要ないことが、①と②の結果が近いことからわかります。
  2. 毎月決まった額を投資する「積立」(①と③)は、誰にでも真似できる「再現性の高い」成功法です。一度設定すれば、あとは「ほったらかし」で資産運用ができ、日々の生活に集中できます。
  3. 預金だけでは物価高(インフレ)に負けてしまう
    • ⑤の「現金主義者」を見てください。20年で貯めた240万円は額面こそ変わりませんが、この間に物価が上がると、買える物の量」は減ってしまい、実質的に資産が目減りしてしまうのです。

お金を増やすためには、デイトレードのように市場に張り付くのではなく、低リスクで確実な「積立」を土台にすることが何よりも重要なのです。

💡 結論:資産を増やすなら「ゆっくり」「堅実」に

デイトレード(短期売買)は、一時的に大きく儲かることもありますが、継続して利益を上げ続けることは非常に難しい「ハイリスク」な運用方法です。

資産形成の目標が「老後の生活を安定させること」ならば、プロの専門家が分散投資を行う「投資信託」のように、長期低リスク・低コスト」で運用する「守りの投資」を土台にすることが大切です。

世界的な大投資家ウォーレン・バフェット氏も言っています。

「ゆっくりお金持ちになろうとする人が少ないから、お金持ちが少ない。」

焦らず、時間を味方につけて、毎月決まった額をコツコツ積み立てていく方法なら、手間も少なく、本業や趣味にも集中できます。これが、多くの専門家が推奨する、「再現性の高い」資産の増やし方です。

あなたの貴重な資産を守り、安心できる未来のために、「攻め(短期売買)」よりも「守り(長期・積立・分散)」の運用を考えてみませんか?


いかがでしたでしょうか? この記事が、皆さまのお金との向き合い方を見直すきっかけになれば幸いです。もし気になる点や、さらに詳しく知りたいことがあれば、お気軽にご質問ください。

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