「老後の資金に少し不安があるけれど、長年住み慣れたこの家は離れたくない……」
「退職金や年金だけで、これからの20年、30年をやりくりできるかしら?」
そんなお悩みをお持ちの方の間で、今非常に注目されているのが「リバースモーゲージ」と「リースバック」という2つの仕組みです。
どちらも「自宅に住み続けながら、現金を手に入れる」という点では同じですが、中身はまったくの別物。自分にはどちらが合っているのか、それぞれのメリット・デメリット、そして気になる「家の価格が下がった時のリスク」まで、専門用語を抜きにして徹底解説します!
リバースモーゲージ:家を担保に「お金を借りる」
まず1つ目の選択肢は、「リバースモーゲージ」です。
一言で言うと、「自宅を担保にした、シニア専用の住宅ローン」です。
仕組みを分かりやすく言うと
普通の住宅ローンは、最初にお金を借りて、毎月「元金」と「利息」を返していきますよね。リバースモーゲージはその逆(リバース)です。
- 借り方: 自宅を担保に、一括または分割で融資を受けます。
- 支払い: 生きている間は「利息だけ」を払えばOKです。元金を返す必要はありません。
- 終わり方: 借りた本人が亡くなった後、自宅を売却して、その代金で借金を一括返済します。
メリット
- 月々の負担が軽い: 元金を返さないので、年金暮らしでも家計を圧迫しません。
- 所有権は自分のまま: 自宅の名義はあなたのまま。リフォームも自由です。
デメリット
- 金利上昇に弱い: 変動金利が多いため、世の中の金利が上がると毎月の利息が増えます。
- マンションは不利なことも: 土地の価値を重視するため、マンションだと利用できない場合があります。
リースバック:家を売って「家賃で住む」
2つ目の選択肢は、「リースバック」です。
こちらは、借りるのではなく「売る」仕組みです。
仕組みを分かりやすくう言うと
- 売却: 不動産会社などに家を売り、まとまった現金を受け取ります。
- 契約: 買った会社と「賃貸契約」を結びます。
- 生活: これまで通り住み続けますが、これからは「家賃」を払います。
メリット
- まとまった現金が手に入る: 売却代金が一気に入ってくるので、大きな出費(借金返済、老人ホーム入居費など)に対応しやすいです。
- 維持費がかからなくなる: 固定資産税や修繕積立金(マンションの場合)を払う必要がなくなります。
デメリット
- 「家賃」がずっと続く: 長生きすればするほど、支払う家賃の総額が膨らみます。
- 一生住めないリスク: 契約内容(定期借家契約など)によっては、数年後に退去を求められる可能性があります。
【ここが重要!】価格下落時の注意点:不動産市場の影響

どちらの方法も「家」という資産をベースにしていますが、「家の価値(地価)」は常に変動します。 もし価格が下がった場合、それぞれ以下のようなリスクがあります。
リバースモーゲージの場合
多くの銀行では数年に一度、家の価値を再評価します。
もし価格が大きく下がると……
- 「融資限度額」が引き下げられることがあります。
- すでに限度額まで借りていた場合、「差額を今すぐ返してください」と言われるリスクがあります。
- 最悪の場合、契約が打ち切られ、存命中に家を手放さなければならない可能性もゼロではありません。
リースバックの場合
売却時に価格が下がっていると、そもそも「手元に入る現金が少なくなる」のが最大のリスクです。
さらに注意したい点……
- 家を安く買い叩かれたのに、設定される「家賃」は相場より高めに設定されるケースがあります。
- 将来「やっぱり買い戻したい」と思った時に、売った時より高い金額を提示されることもあります。
メリット・デメリット比較表
一目で違いが分かるように表にまとめました。
| 比較項目 | リバースモーゲージ(融資) | リースバック(売却) |
| お金の正体 | 銀行からの「借金」 | 家を売った「代金」 |
| 毎月の支払い | 利息のみ(比較的安い) | 家賃(相場より高めのことも) |
| 所有権(名義) | あなたのまま | 不動産会社などに移る |
| 固定資産税 | 払い続ける | 払わなくて良い |
| 主なリスク | 金利上昇、長生きによる枠不足 | 家賃負担、更新できないリスク |
| 向いている人 | 月々の支払いを抑えたい人 | すぐに多額の現金が欲しい人 |
老後資産としての賢い活用術
では、これらをどう生活に活かせばよいのでしょうか? 具体的な活用シーンをご紹介します。
「もしも」の時の備え(リバースモーゲージ)
一気に借りるのではなく、「枠だけ作っておく」方法です。普段は年金で暮らし、急な入院やリフォームが必要になった時だけ、その枠からお金を引き出します。使わなければ利息も発生しないため、安心を買う「お守り」になります。
住み替えの準備資金(リースバック)
「今はまだ元気だから今の家にいたいけれど、5年後には老人ホームに入ろうと思っている」というケースです。先に家を売って現金を確保しておき、そのお金で老人ホームの入居一時金を準備。入居のタイミングでスムーズに退去できるため、無駄がありません。
今ある住宅ローンの完済(リバースモーゲージ)
現役時代に組んだ住宅ローンが残っている場合、リバースモーゲージに借り換えることで、「元金の返済」をゼロにできます。毎月の支払いが「数万円の利息だけ」になれば、年金生活にゆとりが生まれます。
後悔しないための「家族会議」のススメ
最後に、何よりも大切なことをお伝えします。それは、「お子さんや相続人となる方と必ず相談すること」です。
リバースモーゲージもリースバックも、最終的には「その家を家族に引き継げない」という結果になります。
- 「思い出の詰まった実家を残してほしい」とお子さんが思っている。
- 「将来は自分が戻って住むつもりだった」という計画がある。
こうした認識のズレが、後に大きなトラブルを招きます。
「自分たちが最期まで豊かに、周りに迷惑をかけずに暮らすために、この資産を使いたい」という思いをしっかり伝え、家族の同意を得た上で進めることが、最高の老後資金対策になります。
後悔しないための「信頼できる相談先」の見つけ方
リバースモーゲージやリースバックは、大きな金額が動く契約です。以下の3つの視点で相談先を選んでみてください。
「複数を比較する」のが鉄則
一つの銀行や不動産会社だけの話を聞いて決めるのは危険です。
- リバースモーゲージなら: 大手銀行だけでなく、お住まいの地域の地方銀行や信金も検討しましょう。地域密着型の銀行の方が、その土地の価値を正しく評価してくれることがあります。
- リースバックなら: 少なくとも3社以上から見積もり(査定)を取りましょう。会社によって、売却価格や設定される家賃に驚くほど差が出ます。
「デメリットを先に話してくれるか」をチェック
「良いことばかり」を強調する担当者は要注意です。
- 「地価が下がった時のリスク」
- 「金利が上がった時の支払い増」
- 「将来、家を離れることになった時の手続き」 これらを包み隠さず、丁寧に説明してくれる担当者こそが信頼に値します。
公的な窓口も活用する
いきなり企業に相談するのが不安な場合は、「住宅金融支援機構(旧住宅公庫)」や、各自治体の「住み替え相談窓口」を利用してみるのも手です。営利目的ではない公平な立場からのアドバイスがもらえます。
銀行・業者に聞くべき!「安心チェックリスト」
相談に行く際は、このリストを印刷するかメモして持っていき、担当者にぶつけてみてください。
【リバースモーゲージ編】
✅金利の種類は?: 変動金利の場合、将来金利が1%上がったら月々の支払いはいくら増えますか?
✅評価替えの頻度は?: 何年ごとに家の価値を見直しますか?その時、価値が下がっていたら元金の返済を求められますか?
✅同居人の居住権は?: 契約者(私)が亡くなった後、一緒に住んでいる配偶者はそのまま住み続けられますか?(※配偶者への承継ができるか確認)
✅資金の使い道: 借りたお金を「老人ホームの入居費」や「生活費」に充てることは認められていますか?
【リースバック編】
✅契約の種類は?: 「普通借家契約(一生住める)」ですか?それとも「定期借家契約(期限がある)」ですか?
✅家賃の変動: 数年後に家賃が上がる可能性はありますか?
✅買戻しの条件: 万が一、数年後にお金が貯まって「やっぱり買い戻したい」と思った時、いくらで買い戻せますか?
✅修繕の負担: エアコンや給湯器が壊れた時、修理費を出すのは「持ち主(会社)」ですか?「借り主(私)」ですか?
まとめ:あなたの理想の老後はどちらですか?

リバースモーゲージとリースバック。
どちらが優れているということはありません。
- 「自分の家」という誇りを持ちつつ、月々の支払いを安く抑えたいならリバースモーゲージ。
- 「家の管理」から解放され、まとまった現金で身軽になりたいならリースバック。
最後は必ず「第三者」に意見を聞きましょう。 ご家族はもちろん、資産運用のプロである「ファイナンシャルプランナー(FP)」に、「私の年金と資産状況で、この契約は破綻しませんか?」と客観的に判断してもらうのが一番の安全策です。
人生100年時代。家は「守るもの」から、あなたの生活を支える「活かすもの」へと変わってきています。皆さまの「住み慣れた我が家での豊かな暮らし」が、最高の形で実現することを応援しています!


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