皆さんは、「国民年金の未納率が40%(約4割)に達した」というニュースを見て、どう感じましたか?「真面目に払っているのが馬鹿らしい」「日本の年金制度はもう終わりだ」……そう思ってしまうのも無理はありません。
しかし、結論から申し上げますと、「現役世代の4割が年金を無視して払っていない」というのは大きな誤解です。そして、皆さんが受け取っている、あるいはこれから受け取る年金制度が破綻することもまずありません。
また、悲しいことに、この不安を巧みに利用して、高い手数料の投資信託や保険を勧めてくる営業手法も存在します。
ここでは、この「未納率の正体」と、不安を煽る勧誘に騙されないための対策を分かりやすく解説します!
「未納率4割」の数字のトリック

まず、この「4割」という数字がどこから来たのかを整理しましょう。
日本の年金制度は、大きく分けて3つのグループに分かれています。
- 第1号被保険者: 自営業、フリーランス、学生、無職の方(自分で納付書で払う人)
- 第2号被保険者: 会社員、公務員(給料から天引きされる人)
- 第3号被保険者: 会社員に扶養されている配偶者(専業主婦・主夫など)
実は、世間で騒がれている「未納率」というのは、「第1号被保険者」の中だけの数字なのです。
日本の現役世代のほとんど(約85%以上)は、会社員やその家族です。彼らは給料から自動的に天引きされているため、未納という概念がそもそもありません。
つまり、全加入者のうちのほんの一部(自営業者など)の中の、さらに一部の数字を切り取って「4割未納!」と報じられているのが実態です。全加入者ベースで見れば、実際に未納となっている人は全体のわずか数%に過ぎません。
未納の内訳をのぞいてみよう
「未納」と言われる人たちの中身を詳しく見ていくと、さらに安心材料が見つかります。実は、未納とされている人の多くは「意図的に無視している」わけではないのです。
免除・猶予を受けている人
所得が低かったり、失業したりして「今はどうしても払えません」と役所に届け出をしている人たちがいます。これらの方は、法律で認められた「免除・猶予」の状態です。これらの方々は「未納者」のカウントからは外れますが、実質的に保険料が入ってきていない点では同じように見えます。
学生納付特例を利用している人
「今は学生なので、社会に出てから払います」という猶予を受けている若者たちです。
本当の「意図的な未納」はごくわずか
では、お金があるのに「年金なんて信じられないから払わない!」と意図的に無視している人はどれくらいいるのでしょうか?
厚生労働省のデータや調査を深掘りすると、督促などの手続きを行ってもなお意図的に未納を続けている人は、全体で見れば数パーセント(約1〜2%程度)と言われています。
つまり、日本人のほとんどは、何らかの形で制度の中に組み込まれているか、正当な理由があって一時的に支払いを待ってもらっている状態なのです。
なぜ年金制度は「破綻」しないのか?

「未納者が少なくても、少子高齢化で現役世代が減れば、いつか年金は底をつくのでは?」という不安もありますよね。しかし、日本の年金制度は、銀行の預金のような「積み立て」ではなく、「仕送り」の仕組みに工夫が加えられているため、破綻しないようになっています。
根拠①:半分は「税金」で賄われている
皆さんが受け取る年金の半分(基礎年金部分)は、実は私たちが日々払っている消費税などの税金から出ています。 保険料だけで運営しているわけではないので、たとえ未納者が増えたとしても、国が存続する限り、年金がゼロになることはあり得ません。
根拠②:莫大な「積立金」がある
日本には、これまでに積み立ててきた年金のお金が、世界最大級の規模(約200兆円以上)で蓄えられています。これを専門の機関が運用して増やしており、将来の現役世代が減った時のための「備蓄」として活用されます。
根拠③:マクロ経済スライド(自動調整機能)
これは少し難しい言葉ですが、簡単に言うと「社会の状況に合わせて、もらう額を自動で微調整する」というルールです。 現役世代が減れば、もらう額の伸びを少し抑える。そうすることで、将来の世代に負担をかけすぎず、制度を100年先まで持続させる仕組みがすでに導入されています。
金融機関の「不安商法」にご用心!

さて、ここからが今日の本題です。 なぜ、この「未納率4割」という誤解を招く数字がいつまでもネットや雑誌に出続けるのでしょうか?
その裏には、「年金不安を煽って、自社の商品を売りたい」という金融機関の思惑が見え隠れすることがあります。
よくある営業トーク
「年金未納率が4割もあって、将来は年金が破綻するかもしれません。だから、今のうちに民間の個人年金保険や、この投資信託で備えておかないと大変ですよ!」
このように、「年金=危ない」というイメージを植え付けて、手数料の高い商品を勧める手法は少なくありません。
騙されないための3つの対策
- 「公的年金は最強の保険」だと知る: 民間の保険は会社が倒産すれば終わりですが、公的年金は国が続く限り支給されます。しかも、物価が上がれば受給額も増える「インフレ対策」まで付いている商品は、民間にはまず存在しません。
- 源泉は「半分が税金」: 年金の財源の半分は、私たちの払う消費税などの税金です。保険料だけで賄っているわけではないので、未納者が多少いようが、税金が投入される限り制度は維持されます。
- 「即決」しない: 「年金が危ない」と言われて不安になったら、その場ですぐに契約せず、一度持ち帰りましょう。公的年金の不足分を補うための運用(NISAなど)は大切ですが、不安を煽る営業マンから買う必要はありません。
シニア世代が知っておくべきこと

「年金がなくなる」という極端な不安を持つ必要はありませんが、私たちは以下の現実を冷静に受け止める必要があります。
- 「破綻」はしないが「調整」はある: 年金がゼロになることはありませんが、物価上昇に比べると受け取り額の伸びが緩やかになる(実質的な目減り)可能性はあります。
- 未納者は「自分が困る」だけ: 年金を払わない人がいても、制度全体が潰れることはありません。困るのは、将来自分自身が年金を受け取れなくなる、その未納者本人なのです。
シニア世代の皆さんは、自信を持って年金を受け取ってください。それは、皆さんが若い頃から長年日本を支え、制度に貢献してきた正当な権利です。
まとめ
「年金未納率4割」という言葉は、数字の切り取り方によって生まれた、少しセンセーショナルな表現です。
- 全加入者で見れば、未納者はごくわずか。
- 意図的な未納者は数パーセント程度。
- 税金と積立金、そして自動調整の仕組みにより、制度は破綻しない。
これが年金の真実です!
「年金が危ないから、この投資をしましょう」という言葉に出会ったら、「年金は半分税金だし、未納者は全体で数%でしょ?」と心の中で笑い飛ばしてあげてください。
不安を煽る情報に惑わされず、正しく制度を知ることで、ゆとりあるシニアライフを送っていきましょう!
シニア世代の皆様の大切な資産を守るためには、こうした「正しい知識」が何よりの武器になります。
これからもシニアに皆様に「本当に役に立つ情報」を、難しい専門用語は使わず、簡潔にお届けしていきます。

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