「年金って難しそうで、よくわからない」
「老後のお金が心配だけど、何から始めたらいいの?」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。特に、最近ニュースなどで見かける「国民年金の支払い期間が65歳まで延びるかもしれない」という話は、不安に感じますよね。
実は、この延長案は、私たちの将来の生活に深く関わる、とても大切な話なんです。今回は、年金について初めての方にもわかりやすく、そして知っておいてほしい「国民年金45年延長」のポイントを、最新情報をもとに解説します。
この記事を読んで、漠然とした年金への不安を解消し、老後の安心につながるヒントを見つけていただけたら嬉しいです。
そもそも国民年金って何?私たちの生活を支える「お守り」

「国民年金って、結局どういうものなの?」そう思っていませんか?国民年金は、日本に住む20歳から60歳までの皆さんが加入する、国の大切な制度です。私たちの老後の生活を支える、いわば「お守り」のようなものなんです。
人生100年時代と言われる現代、老後の生活を安心して送るためには、経済的な備えが欠かせません。その中心となるのが、この国民年金です。国民年金に加入し、保険料をきちんと納めることで、私たちは将来、国から年金を受け取る権利を得られます。
もし、年金を納めていなかったらどうなるでしょう?老後に収入が途絶えた時、生活が苦しくなってしまうかもしれません。そうならないために、国民年金は「もしもの時のセーフティネット」として、私たちの生活を守ってくれる心強い存在なのです。
年金は老後の生活費だけじゃない!もしもの時に役立つ2つの年金
国民年金は、老後の生活費となる老齢基礎年金だけではありません。もしもの時に役立つ、大切な仕組みも備わっています。
- 障害基礎年金: 病気やけがで、生活や仕事に支障が出るほどの障害が残ってしまった場合、条件を満たせば受け取ることができます。
- 遺族基礎年金: 国民年金に加入していた方や年金を受け取っていた方が亡くなった場合、残されたお子さんのいる配偶者や子に支給されます。
これらの年金は、予期せぬ事態が起こった際に、ご自身やご家族の生活を支える大切な支えとなりま
毎月の保険料と、もらえる年金額は?
では、具体的にどれくらいの保険料を払い、どれくらいの年金がもらえるのでしょうか?
2025年度(令和7年度)の国民年金保険料は、毎月17,510円です。この保険料は、皆さんの年齢や収入に関わらず、一律で定められています。
そして、この保険料をきちんと納めると、原則として65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。
例えば、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)にわたって国民年金の保険料をすべて納め続けた場合、2025年度の満額は月額69,308円(年額831,696円)(*1)です。
(*1)昭和31年4月2日以後生まれの方の場合。なお、昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額)は、月額69,108円です。
もちろん、途中で保険料の免除・猶予された期間があったり、未納の期間があったりすると、もらえる年金額は減ります。しかし、納めた期間に応じて、着実に年金額は増えていきます。
なぜ年金の支払い期間が延びるの?

ここからは、今回の本題である「国民年金45年延長」の話に移ります。
現在、国民年金の保険料を納める期間は、基本的に20歳から60歳までの40年間とされています。しかし、国はこれを65歳までの45年間に延長する案を検討しています。
「5年間も納付期間が延びるなんて困る!」と感じる方がほとんどだと思いますが、これには理由があります。
- 私たちの寿命が延びているから: 昔に比べて、健康でいられる期間が長くなりました。働ける期間も長くなっているので、年金を受け取る期間も長くなります。そのため、年金の財源を確保するために、保険料を納める期間を延ばす必要が出てきたのです。
- 少子高齢化が進んでいるから: 日本は、年々子どもの数が減り、高齢者の数が増えています。今の年金制度は、若い世代が払った保険料で高齢者の年金を支える仕組みなので、このままでは制度を維持するのが難しくなってしまいます。
このような社会の変化に対応するために、年金の制度を時代に合わせて見直していく必要があるのです。
「45年延長」で私たちの負担はどうなる?
もし、支払い期間が45年に延長されたら、私たちの負担はどれくらい増えるのでしょうか?
2025年度の国民年金保険料は月額17,510円です。仮にこの金額で納付期間が5年間(60ヶ月)延長となった場合、毎年約21万円(17,510円×12=210,120円)かかり、5年間で約105万円の負担増となります。
ただし、負担が増えるのは60歳以降も国民年金に加入し続ける方です。具体的には、自営業の方や、60歳になる前に会社を退職した元会社員の方がこれに該当します。
一方、60歳以降も会社員として働き続ける方は、基本的に負担は変わりません。これは、会社員が加入している「厚生年金」の保険料の中に、既に国民年金分が含まれているからです。
また、支払い期間が延びれば、その分もらえる年金額も増える可能性があります。厚生労働省の試算では、40年納めた場合と比べて、45年納めた場合は年金額が約1割増えるとされています。
具体的に受け取る年金額はいくら?
納付期間が延長され、払う保険料が多くなれば、受け取る年金額も増える可能性があります。厚生労働省は、2019年の財政検証において、納付期間が延長された場合の試算を行っています。ここでは、納付年数が延びた分に合わせ、基礎年金が増額される仕組みを想定しています。
例えば、仮に現在の年金額で計算すると、老齢基礎年金が月額69,308円(2025年度、40年間保険料を納めた場合の満額)に対し、もしも、納付期間が45年に延長された場合、基礎年金額は 45/40 倍、月額77,971円(約1.12倍)となります。
このほか、5年延長を行うことで老後の基礎年金が増えれば、障害基礎年金や遺族基礎年金も原則増えると見込まれている。
給付水準の「底上げ」も検討される理由

年金制度のもう一つの重要なテーマとして、「国民年金給付水準の底上げ」があります。これは、現在、年金を受け取っている人や、将来年金を受け取る人が、より安心して生活できるよう、年金額を増やすことを検討するものです。
なぜ、このような話が出てきたのでしょうか?
年金制度は、日本の経済状況や物価の変動に合わせて、年金額が自動的に調整される仕組み(マクロ経済スライド)があります。これは、年金制度を維持するために必要な仕組みですが、結果として年金額が思うように増えず、将来の生活に不安を感じる人も少なくありません。
そのため、「給付水準を少しでも上げて、老後の生活を安定させよう」という議論が始まっているのです。
参考記事:【シニア世代必見】国民年金「底上げ」案で年金は増える?損しないための基礎知識

「45年延長」に備える!今日からできる3つの対策

もし、年金の支払い期間が延長されたら、どうしたらよいのでしょうか?今からできる対策を3つご紹介します。
1. 60歳以降も働き続ける
一番の安心策は、60歳以降も働き続けることです。総務省の調査によると、65歳以上の夫婦2人が生活していくには、毎月約27万円が必要とされています。もし、60歳以降も働き、月15万円の収入があれば、足りない分は12万円ですみます。
再雇用制度や定年延長を利用したり、無理のない範囲でパートやアルバイトをしたりすることで、年金を受け取るまでの生活費を確保し、さらに国民年金の保険料も払えるので一石二鳥です。
2. 60歳からの生活費を計画的に貯めておく
早期リタイアを考えている方は、60歳以降の生活費を計画的に貯めておくことが大切です。特に、年金を受け取り始める65歳までの5年間の生活費と、国民年金の保険料分をしっかり準備しておきましょう。
3. 保険料免除制度を活用する
「どうしても保険料を払うのが難しい」という場合は、保険料免除制度を活用しましょう。本人や配偶者、世帯主の所得が一定額以下の場合、申請することで保険料の全額または一部の納付が免除されます。
この制度を利用すれば、未納となる場合と比べて、将来受け取る年金額が少しでも増えます。支払いが難しい場合は、無理をせず役所や年金事務所に相談してください。
今後の年金制度はどうなる?2029年「財政検証」がカギを握る!

今回、厚生労働省が検討していた「国民年金45年延長」と「給付水準の底上げ」は、2024年7月の議論で一度先送りとなりました。しかし、この話はこれで終わりではありません。
実は、日本の年金制度は、「財政検証」という5年に一度の大切な点検が行われています。ここで、年金制度が将来にわたって安定しているか、厳しい状況になっていないかなどを徹底的にチェックし、今後の改革案が話し合われます。
「国民年金45年延長」は、次回の2029年の財政検証における最も重要なテーマの一つとなる見込みです。
前述の「国民年金給付水準の底上げ」案よりも、私たちが年金に加入する期間が延びることは、年金制度を安定させるために欠かせない、大きな影響力を持つ改革だと考えられています。
今後、年金制度がどのように変わっていくのか、この財政検証の結果に注目していく必要があります。
不安なことは、一人で抱え込まないで

年金制度は少し複雑に感じられるかもしれません。しかし、ご自身やご家族の将来のためにも、制度を理解することはとても大切です。
「ねんきん定期便」をチェックしたり、年金事務所や市区町村の窓口で相談したりするのも良いでしょう。専門家が優しく教えてくれます。
「自分の場合はどうなるの?」「将来、どれくらいもらえるか知りたい」など、少しでも疑問や不安に思うことがあれば、一人で抱え込まずに、相談窓口を利用してみてください。
今回の「国民年金45年延長」や「給付水準の底上げ」は、今後の年金制度のあり方を考える上で、非常に重要なテーマです。私たち一人ひとりが、自分のこととして年金と向き合うきっかけになれば幸いです。
参考記事:ねんきん定期便には生命保険見直しのヒントがある ねんきん定期便の見方

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