50代・60代の就業不能保険ガイド|働けなくなった時の生活費を守る選び方

生命保険

「最近、階段の上り下りで息が切れるようになったな」「同級生が病気で入院したらしい」……。 50代、そして60代という年齢を迎えると、そんな会話が現実味を帯びてきますよね。

これまで一生懸命に働き、ようやく定年後の暮らしや、やりたいことが見えてきた時期。そこで一番怖いのは、「病気やケガで長期間働けなくなり、収入が途絶えてしまうこと」ではないでしょうか。

「私は医療保険に入っているから大丈夫」 そう思っている方にこそ、ぜひ読んでいただきたいのが今回のテーマです。実は、医療保険だけでは「働けない期間の生活費」を守り切ることは難しいのです。

人生100年時代、60代を過ぎても現役で働くことが珍しくない今だからこそ、知っておきたい「就業不能保険(しゅうぎょうふのうほけん)」。

その仕組みと、シニア世代ならではの賢い選び方を、わかりやすく解説します。

就業不能保険の基礎:どんな保険?

まずは「就業不能保険」とは一体何なのか、その基本を整理しましょう。

お給料の代わりになってくれる保険

就業不能保険を一言で表すと、「病気やケガでお医者さんから止められ、長期間働けなくなった時に、毎月決まった金額(お給料のような形)でお金を受け取れる保険」です。

入院中はもちろん、退院後の「自宅療養」で仕事ができない期間もサポートしてくれるのが最大の特徴です。

保険会社によって呼び方が違う

この保険は、保険会社によってさまざまな名称で呼ばれています。どれも「働けない時の収入を補う」という目的は同じです。

  • 給与サポート保険: 「減ってしまったお給料を補う」というイメージ。
  • 所得補償保険: 主に損害保険会社が使う名称。実損を補填するニュアンスです。
  • くらしの応援保険: 働けなくなった後の「生活」を支えることを強調しています。
  • 働く人のためのお守り: シンプルに現役世代の安心を謳ったもの。

パンフレットを見るときは、これらの名前を探してみてください。

医療保険との決定的な違い

「医療保険があれば、わざわざ就業不能保険に入る必要はないのでは?」という疑問をよく耳にします。しかし、この2つは役割が全く異なります。

医療保険は「病院に支払うお金」

医療保険は、主に入院や手術をした時に「1日5,000円」「手術1回10万円」といった形で給付金が出ます。これはあくまで「治療費の足し」にするためのものです。

就業不能保険は「家族が食べていくためのお金」

一方、就業不能保険は、病院への支払いに関係なく、**「生活を維持するためのお金」**として支払われます。

  • 家賃や住宅ローンの支払い
  • 毎月の光熱費や食費
  • 社会保険料や税金の支払い

これらは病気で寝込んでいても、待ったなしで請求が来ます。医療保険で治療費はまかなえても、こうした「固定費」をカバーし続けるのは、貯金がよほど潤沢でない限り難しいものです。

【重要】「ガン=お金がもらえる」ではないという落とし穴

50代・60代が最も心配する病気といえば「ガン」ですよね。しかし、ここに就業不能保険の最大の注意点があります。

ガンになっても働いている人は多い

今の時代、医療技術が進歩し、ガンは「入院して治す病気」から「通院しながら付き合う病気」に変わりつつあります。国立がん研究センターなどのデータを見ても、ガンの治療をしながら仕事を続けている方は大勢います。

就業不能保険の判定基準は「働けるかどうか」

ここがポイントです。就業不能保険は、名前に「ガン」と付いていても、「ガンと診断されたからお金が出る」わけではありません。

  • ケースA: ガンと診断されたが、手術が成功し、1ヶ月で職場復帰。通院はしているが仕事はこなしている。
  • ケースB: ガンの進行や後遺症により、お医者さんから「今の仕事は継続できません」と言われ、自宅で寝たきり、もしくは極めて制限された生活を送っている。

お金が出るのは「ケースB」だけです。 「ガンになった時の治療費や当面のまとまったお金」が欲しいなら、がん保険の「診断一時金」を優先すべきです。就業不能保険は、あくまで「身体的な理由で物理的に働けなくなった時の最終手段」だと考えてください。

会社員なら要チェック!「GLTD」という強い味方

もしあなたが現在、会社員としてお勤めであれば、個人で保険を探す前に確認してほしい言葉があります。それが「GLTD(ジー・エル・ティー・ディー)」です。

GLTD(団体長期障害所得補償保険)とは

これは、企業が従業員のためにまとめて加入する「団体の就業不能保険」のことです。

  • 保険料が格安: 会社が何百人、何千人とまとめて入るため、個人で入るより3割〜5割ほど安くなることが多いです。
  • 定年まで続く安心: 会社を辞めるまで、あるいは条件によっては定年後も保障を継続できる場合があります。
  • 審査が通りやすい: シニア世代になると持病などで保険に入りづらくなりますが、団体保険であるGLTDは、健康状態のチェックが比較的ゆるい傾向にあります。

まずは会社の福利厚生のパンフレットや、社内ポータルサイトで「所得補償」や「GLTD」という言葉を探してみてください。これがあるなら、個人で高い保険に入る必要はないかもしれません。

シニア世代が選ぶ時の「賢い3つのポイント」

50代・60代から新しく保険を検討する場合、若い頃と同じ選び方をしてはいけません。

① 「免責期間(待ち時間)」を味方につける

就業不能保険には、働けなくなってから実際に給付が始まるまでの「待ち時間」があります。これを「免責期間」と言います。

  • 60日設定: 働けなくなって2ヶ月後からお金が出る。保険料は高い。
  • 180日設定: 働けなくなって半年後からお金が出る。保険料は安い。

50代・60代の方で、ある程度の貯蓄があるなら、「半年くらいなら貯金で耐えられる」と割り切って180日設定にするのがおすすめです。これにより、月々の保険料を大幅に節約できます。

② 保障期間は「定年」に合わせる

就業不能保険は一生涯入り続けるものではありません。あなたが「何歳まで働く予定か」に合わせて期間を設定しましょう。 「60歳まで」や「65歳まで」と期間を区切ることで、無駄な保険料を払わずに済みます。

③ 精神疾患が含まれているか確認

現代はシニア世代でも、職場のプレッシャーや介護疲れなどで「心の病」を患うリスクがあります。古い保険や一部の安いプランでは、うつ病などの精神疾患が対象外になっていることがあります。必ず「心の病気もカバーされているか」をチェックしてください。

まとめ:今のあなたに「本当に必要か」の見極め方

50代・60代にとって、就業不能保険は「人生のラストスパートを守る保険」です。

  • 加入を検討すべき人:
    • まだ住宅ローンが残っている。
    • 子供の学費や仕送りが続いている。
    • 自営業で、自分が動かないと収入が即ゼロになる。
    • 貯金が1年分(生活費)に満たない。
  • 加入しなくても良い人:
    • すでに住宅ローンを完済している。
    • 十分な老後資金(貯蓄)がある。
    • 万が一の時はパートナーの収入や年金だけで生活できる。

保険は「不安だから入る」のではなく、「もしもの時にいくら足りないか」を計算して入るものです。

さいごに

「自分の場合はどうなんだろう?」と不安になった方は、まずは「今、毎月いくら生活費がかかっているか」を書き出してみることから始めてみましょう。

もし、その金額を半年間、貯金だけで賄うのが難しいと感じたら、それが就業不能保険を検討するタイミングです。


50代・60代の保険選びは、若い頃と違って「いかに無駄を省きつつ、リアルなリスクを守るか」がポイントになります。今回のブログの内容が、読者の方々の不安を解消し、賢い選択の後押しになることを願っています。

(注:この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品の勧誘を行うものではありません。詳細は各保険会社や専門のFPにご相談ください。)

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