iDeCOについて教えてください!: iDeCoの配分変更とスイッチングってなにが違うの?

年金

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2025年度の6月13日に年金制度改正法が成立し、加入年齢アップおよび拠出額のアップが今後実施されることで資産運用の手段として、新NISA同様に今後注目されるが、iDeCoには、新NISAにはない機能として、「配分変更」および「スイッチング」という機能があります。ここでは、この2つの機能についてわかりやすくお伝えします。

配分変更とは

毎月の掛金で購入する、運用商品の種類や配分割合を変更することです。
年齢や運用環境の変化によって、リスク・リターンの大きい運用から小さい運用(あるいはその逆)に変更したい場合などに実施します。
配分変更に手数料はかかりません。また、締め切り前でしたら何度でもやり直すことができます。

出典:中央ろうきん iDeCo運用見直しガイド

配分変更のメリット・デメリット

メリット:

  • 柔軟な運用: ライフステージの変化(結婚、出産、住宅購入など)や経済状況の変化に合わせて、運用方針を柔軟に変更できます。
  • リスク調整: 若い頃はリスクの高い商品で積極的な運用を行い、老後に近づくにつれてリスクの低い商品に切り替えるなど、ご自身の状況に合わせてリスクを調整できます。
  • 手数料無料: 手続き自体に手数料はかかりません。

デメリット:

  • 運用効率の低下の可能性: 頻繁に配分変更を行うと、長期投資のメリットを享受しにくくなる可能性があります。
  • 手続きの手間: 金融機関のサイトにログインして手続きを行う必要があります。

配分変更の手続き方法

iDeCoの配分変更は、各金融機関(運営管理機関)のウェブサイトから行うのが一般的です。具体的な手順は金融機関によって異なりますが、おおむね以下の流れになります。

  1. ご加入のiDeCoの加入者サイトにログイン(JIS&T社のサイトを利用している場合が多いです)。
  2. 「運用商品・掛金配分を変更」や「商品別配分変更」といったメニューを選択。
  3. 変更したい運用商品の種類と、それぞれの配分割合(1%単位で指定可能、合計100%になるように)を入力。
  4. 内容を確認し、申し込みを完了。

注意点:

  • 毎月の掛金の引き落とし日から一定期間(金融機関によって異なりますが、9営業日程度)締め切りが設定されている場合があります。締め切りを過ぎて申し込んだ場合は、翌月分の掛金から変更が適用されます。
  • 配分変更はいつでも操作が可能ですが、締切日を過ぎるとその月は変更前の配分で運用商品の購入が行われ、翌月から配分変更が適用されます。
  • 配分変更とスイッチングは連動していないので、ある商品の購入と運用をすべてやめ、別の商品と入れ替えたいときは、配分変更とスイッチング両方の手続きが必要です。

iDeCoは長期的な資産形成を目的とした制度なので、短期的な相場変動に一喜一憂せず、ご自身の長期的な運用計画に基づいて見直しを行うことが大切です。

iDeCoのスイッチングとは?

iDeCoにおけるスイッチングとは、現在保有している運用商品を売却し、その売却代金で別の運用商品を購入することを指します。簡単に言うと、「持っている商品を別の商品に買い替える」手続きです。

これに対し、毎月の掛金で購入する運用商品の種類や割合を変更することは「配分変更」と呼ばれ、スイッチングとは異なる手続きです。スイッチングは、これまでに積み立ててきた資産の配分を見直す際に利用します。

出典:中央ろうきん iDeCo運用見直しガイド

スイッチングの目的とメリット

スイッチングを行う主な目的とメリットは以下の通りです。

  • 利益確定: 運用している商品が値上がりし、含み益が出ている場合に、その利益を確定させたいときに利用します。特に、値動きの大きい投資信託で利益が出ている場合、それを元本確保型商品(定期預金など)にスイッチングすることで、価格変動リスクを抑え、利益を確保できます。
  • 資産配分の見直し(リバランス): 運用を続けていると、市場の変動により当初設定した資産配分が崩れることがあります。例えば、株式型の比率が高くなりすぎた場合、一部を売却して債券型や元本確保型にスイッチングすることで、リスク許容度に応じた資産配分に戻すことができます。
  • ライフプランの変化への対応: 年齢やライフスタイルが変化するにつれて、リスク許容度も変化します。例えば、若いうちは積極的にリスクを取った運用をしていても、退職が近づいてきたら安定志向の運用に切り替えたい場合などにスイッチングを活用します。

スイッチングのやり方

スイッチングの手続きは、加入している金融機関(運営管理機関)のウェブサイトから行うのが一般的です。具体的な手順は金融機関によって異なりますが、大まかな流れは以下の通りです。

  1. 加入している金融機関のウェブサイトにログイン: iDeCoの加入者専用サイトにアクセスします。
  2. 「保有商品の入替」や「スイッチング」のメニューを選択: メニューバーやトップページから該当する項目を探します。
  3. 売却したい商品を選択: 現在保有している運用商品の中から、売却したい商品を選びます。売却する口数や金額を指定します(投資信託の場合は口数で指定することが多いです)。
  4. 購入したい商品を選択: 売却した資金で購入したい商品を選びます。複数の商品を選択し、購入割合を指定することも可能です。
  5. 内容を確認し、申し込み: 最終確認画面で、売却する商品と購入する商品の内容、数量などを確認し、申し込みを完了します。

スイッチングの注意点

スイッチングを行う際には、いくつか注意しておくべき点があります。

  • 手数料(信託財産留保額): 投資信託によっては、売却時に「信託財産留保額」という手数料がかかる場合があります。頻繁にスイッチングを行うと、この手数料が積み重なり、運用効率が低下する可能性があります。
  • 手続き完了までの時間: スイッチングの手続きは、申し込みから売却・購入が完了するまでに数日かかることがあります。リアルタイムで取引されるわけではないため、その間の市場変動リスクを考慮する必要があります。
  • 頻繁なスイッチングは避ける: iDeCoは長期的な資産形成を目的としています。短期的な市場の変動に一喜一憂して頻繁にスイッチングを繰り返すと、手数料がかさんだり、かえって運用効率が悪くなったりする可能性があります。年に1回など、定期的なタイミングを決めて見直すのがおすすめです。
  • 配分変更との違い: スイッチングは「これまでの運用資産」の入れ替え、配分変更は「これからの掛金」の投資先変更です。両方を変更したい場合は、それぞれの手続きが必要です。

スイッチングのおすすめタイミング

  • 定期的なリバランス: 年に1回など、決まった時期に資産配分を確認し、当初設定した目標と乖離がある場合にスイッチングを行うのが一般的です。
  • ライフプランの変化: 結婚、出産、住宅購入、退職時期の接近など、大きなライフイベントがあった際に、リスク許容度に合わせて資産配分を見直す良い機会です。
  • 年代による考え方:
    • 20代~40代(資産形成期): 積極的にリスクを取れる時期なので、価格が下がっても焦らず運用を継続し、安値で買い増し(積立)する意識が重要です。資産配分のバランスが大きく崩れた際のリバランスが主な目的となります。
    • 50代以降(受取準備期): 退職が近づくにつれて、大きな値動きによる資産減少リスクを避けるため、徐々に安定資産(元本確保型や債券型)の割合を増やし、利益を確定していくことを検討すると良いでしょう。ただし、受け取り開始年齢を75歳まで遅らせることも可能になったため、慌てて利益確定せず、相場の回復を待ってから受け取る選択肢もあります。

iDeCoのスイッチングは、賢く活用することで、より効率的な資産形成に繋がります。ご自身のライフプランやリスク許容度に合わせて、適切なタイミングで活用するようにしましょう。

まとめ

「老後資金2000万円問題」「国民年金3割減る」といったニュースが話題になる今日において、多くの人たちが老後資金形成に不安を抱えています。

そうしたなかで、老後資金をつくるための年金制度であるiDeCOは注目されています。

iDeCoは自分が拠出した掛け金を、自分で選んだ商品によって長期にわたり運用し、老後資金を効率的に準備できる仕組みとなっています。

運用中は、全額所得控除や運用益非課税といった税優遇措置があり、運用したお金を原則60歳以降に年金、もしくは一時金として受け取ることができるのです。

つまり、iDeCoで老後資金を増やすポイントは短期的な利益ではなく、長期的な目線で運用を行うことにあります。

年齢や環境・収入の変化に合わせて見直すことが大切です。

そのための機能がスイッチング配分変更です。

頻繁に見直しをする必要は全くなく、最低でも年1回くらいは見直しをしながら効率よく運用をしていきましょう。

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