将来もらえる退職金を把握しよう:知って得する3つのステップで老後資金の不安を解消しよう

3-1 将来もらえる退職金の額を把握する

「定年まで働けば、まとまった退職金でこれからの生活は安心できるはず……本当にそれだけで足りるだろうか?」

老後の生活を想像したとき、誰もが一度はこのような漠然とした不安を抱えたことがあるのではないでしょうか。

行動経済学では、私たちは目の前のお金よりも将来得られるお金を過小評価してしまう「現在バイアス」や、損失を極端に恐れる「損失回避性」という心理のクセを持っています。そのため、「退職金がいくらもらえるか不安なのに、怖くて金額を調べられない」という状態に陥りがちです。

しかし、不安の正体は「いくらもらえるか分からない」という見えない恐怖にあります。まずは自分の退職金を正しく把握することが、安心なセカンドライフの第一歩となります

ここからは、厚生労働省のデータも交えながら、ご自身の退職金を正確に把握し、明日からすぐに行動に移せる具体的な方法を分かりやすく解説します。

現在の退職金の現状と制度を知る

まずは、日本の退職金を取り巻く現状と、ご自身の会社が採用している制度を正確に把握することから始めましょう。

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者が受け取る退職給付額は、ここ20年で約600万円も減少する傾向にあります。

かつての世代と同じ感覚で「2,000万円はあるはず」と思い込んでいると、大きな誤算が生じる恐れがあります。この減少の背景には、勤続年数だけでなく仕事の成果や役職を反映させる「ポイント制」を導入する企業が増えていることがあります。

さらに、全企業の約4分の1には退職金制度自体が存在しないというデータもあり、会社ごとのルールの確認が欠かせません。

あなたの会社に「退職金制度」はありますか?

退職金制度は、すべての会社にあるわけではありません

会社全体の約4社に1社には、退職金制度がないというデータがあります。特に、従業員が少ない会社ほど、退職金制度がない割合が高くなっています。

もし、あなたの会社に退職金制度がない場合でも、ご安心ください。給与の一部として毎月「退職金」が前払いされているケースもあります。

ただし、退職金が前払いされている場合、将来のお金は自分で計画的に貯めていく必要があります。そのような場合は、国が用意している「iDeCo(イデコ)」や「新NISA(ニーサ)」といった制度を上手に活用して、ご自身の退職金を準備していくことが大切になります。

知っておきたい!あなたの退職金はどのタイプ? 

一言で「退職金」といっても、その制度は会社によってさまざまです。まずはご自身の会社の制度がどのタイプかを確認してみましょう。

退職金の仕組みは、主に次の4つに分類されます。まずはご自身の会社の規程を確認しましょう。

これらを理解した上で、ご自身の会社の「退職金規程(給与規程)」で確認し、定年まで勤めた場合の概算額を算出することが肝心です。

1. 退職一時金制度

これは、退職するときにまとまったお金(一時金)を一度にもらえる、最も身近な制度です。長年勤めた人や役職が高い人ほど、金額が多くなるのが一般的です。

2. 確定給付企業年金(DB)

会社が将来受け取れる年金の金額をあらかじめ約束してくれる制度です。年金のように、毎月少しずつ受け取るのが一般的です。もし運用で損が出ても、会社が補ってくれるので安心です。

3. 企業型確定拠出年金(DC)

会社が毎月決まった金額を積み立ててくれて、自分でそのお金を運用する制度です。将来受け取る金額は、運用の成果によって変わります。

もしあなたが自分で運用する「企業型確定拠出年金」を選んでいる場合、株や投資信託のように、値上がりすることもあれば、値下がりすることもあることを知っておきましょう。

参考記事:老後の安心を左右する「企業型確定拠出年金(企業型DC)」とは?iDeCoとの違いや商品選びのコツを徹底解説

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55歳のFP1級ブロガーが解説!会社で加入する企業型DC(確定拠出年金)の仕組みやiDeCoとの違いを整理。50代が陥りやすい「受け取り時の税金」の落とし穴や、最近の利回りを踏まえた商品選びのコツをわかりやすくお届けします。

4. 中小企業退職金共済

中小企業で働く人のための制度です。会社が毎月、独立した機関(中小企業基盤整備機構)に掛金を積み立ててくれます。退職時には、これまでの積立金と、運用の成果に応じたお金を受け取ることができます。

3つの制度の違いを表にすると以下の通りである。

出典:はぐくみ企業年金ナビ より

退職金でやってはいけないことへの心構え

退職金を正しく把握できたら、次はそれを減らさないための心構えとして、よくある失敗に備える視点を持ちましょう。

大金が口座に振り込まれると、「退職金特別プラン」と称した高金利の定期預金と手数料の高い投資信託のセット商品や、高コストな外貨建て生命保険を金融機関から勧められるケースが少なくありません。また、手元の安心欲しさから、退職金の全額を充てて住宅ローンを一気に完済してしまうことも、手元の現金を失うリスクを伴います。

これらを避けるためには、受け取った金額の全体像と自身のライフプランを照らし合わせ、「本当にこの商品や一括返済が必要か」を冷静に立ち止まって考えることが求められます。

「将来もらえる退職金を把握する」ために今すぐ実践できる3つのステップ

  1. 会社の「退職金規程(給与規程)」を確認する まずは社内のポータルサイトや人事部門で、ご自身の会社の退職金制度が「一時金」「確定給付企業年金(DB)」「確定拠出年金(DC)」のどれに該当するか、規程を取り寄せて確認しましょう。全企業の約4分の1には制度自体がないため、まずは会社のルールを知るのが第一歩です。
  2. 退職金の「シミュレーション(試算)」を自分で行う 最近主流となっている「ポイント制」の仕組み(勤続年数だけでなく成果や役職がどう影響するか)をふまえ、定年まで勤め上げた場合の概算額を自分で計算するか、人事担当者に確認して具体的な金額を割り出しましょう。
  3. 「iDeCo」や「新NISA」を活用した不足分の補填計画を立てる 試算した退職金の額と、自身のライフプランで必要なお金を照らし合わせ、金額が足りない場合に備えて、国が用意している「iDeCo」や「新NISA」を使ってどれくらい自助努力で上乗せすべきか具体的な目標を設定しましょう。

まとめ

退職金は、これまでの長年の会社生活に対する大切な報酬であると同時に、これからの人生を支える貴重な資産です。

見えない将来の不安に怯えるのではなく、厚生労働省のデータや会社の規程という客観的な事実をもとに、ご自身の退職金の金額と仕組みを今すぐ正確に把握しましょう。

正しい知識を持って行動を起こすことで、不要な金融商品の勧誘や焦った選択を防ぎ、心穏やかで豊かなセカンドライフを確実に築き上げていくことができます。

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