「年金は70歳からになる」は本当?シニアが知っておくべき最新情報と真実

年金

こんにちは。シニア世代の皆さまにとって、最も気になるニュースの一つが「年金の支給開始年齢」ではないでしょうか。

テレビやネットで「年金は70歳からになる」という言葉が飛び交うことがありますが、結論から申し上げます。「2026年現在、公的年金(老齢年金)が原則70歳からになる」という決定事項はありません。

今のところ、年金を受け取り始める「原則の年齢」は65歳のままです。

では、なぜ「70歳」という数字がこれほど話題になっているのでしょうか。

そこには、制度の「変更」ではなく「選択肢の拡大」という背景があります。今回は、これから年金を受け取る皆さまが混乱しないよう、ポイントを整理してお伝えします。

「70歳引き上げ」はまだ先?最新の改正で変わった本当のこと

国が制度を維持するために、将来的には「原則65歳」というラインを「67歳」や「70歳」へ引き上げるのではないか、という議論が専門家の間で行われているのは事実です。

しかし、2025年(令和7年)に行われた最新の年金制度改正の主な内容は、支給開始年齢の引き上げではなく、以下のようなものでした。

  • 働きながら年金をもらう人の優遇: 働いて一定以上の給料をもらうと年金がカットされる仕組み(在職老齢年金)がありますが、その「カットされる基準」が緩和されました。月収と年金の合計が62万円(以前は50万円)までは、年金を全額受け取れるようになります。
  • パート・アルバイトの加入拡大: 短い時間働く方でも厚生年金に入りやすくなり、将来の年金額を増やせるようになりました。

つまり、現在の国の方向性は「無理やり支給を遅らせる」ことよりも、「高齢になっても意欲がある人が損をせずに働き続け、年金を増やせる環境を作る」ことに重点が置かれています。

70歳まで「働き続ける」ための環境整備

もう一つ「70歳」という数字が出る理由に、仕事の定年があります。

現在、企業には「希望する人を65歳まで雇う」ことが義務付けられていますが、さらに「70歳まで働ける機会を作る」ことが努力義務となっています。

「70歳まで働く場所がある」→「その間は給料があるから年金を遅らせても大丈夫」→「結果的に70歳から増えた年金をもらう」という流れを、国は推奨しているのです。これが「年金は70歳から」というイメージに繋がっていると考えられます。

年金支給開始年齢「引き上げ」の歩み

かつて日本の年金(厚生年金)は、「60歳」からもらえるのが当たり前の時代がありました。

しかし、少子高齢化の影響で、これを「65歳」まで引き上げることになり、以下のスケジュールで進められてきました。

「定額部分」の引き上げ(13年かけて完了)

年金のうち「1階部分」と呼ばれる基本の金額(定額部分)については、以下の期間で引き上げが行われました。

  • 男性: 2001年度(平成13年)〜2013年度(平成25年)
  • 女性: 2006年度(平成18年)〜2018年度(平成30年)

ここでまず、約13年の月日を費やしています。

「報酬比例部分」の引き上げ(現在も進行中)

お給料の額に応じて決まる「2階部分」(報酬比例部分)の引き上げは、現在まさに完了間近の状態です。

  • 男性: 2013年度(平成25年)〜2025年度(令和7年)
  • 女性: 2018年度(平成30年)〜2030年度(令和12年)

つまり、男性で見ると「60歳からもらえていた時代」から「完全に65歳からになる時代」まで、合計で24年〜25年という、四半世紀近い時間をかけてゆっくりと移行してきたことになります。

なぜこんなに「ゆっくり」変えたのか?

「明日から65歳支給です」と突然言われても、生活設計が立ちませんよね。そのため、国は以下のような「クッション」を設けました。

「特別支給の老齢厚生年金」という制度

60歳から65歳になるまでの間、いきなりゼロにするのではなく、「生年月日に応じて、少しずつもらえる年齢を遅らせていく」という経過措置が取られました。これが「特別支給の老齢厚生年金」です。

  • 昭和20年代生まれの方は61歳や62歳から。
  • 昭和30年代前半の方は63歳や64歳から。 といった具合に、階段を一段ずつ登るように調整されてきました。

2026年現在の状況:いよいよ「全員65歳」の時代へ

男性であればすでに「原則65歳から」の世代、またはその直前の世代にあたります。

  • 男性: 昭和36年(1961年)4月2日以降に生まれた方は、一律で65歳開始です。
  • 女性: 昭和41年(1966年)4月2日以降に生まれた方は、一律で65歳開始です。

60歳から65歳への引き上げには、混乱を防ぐために20年以上の準備期間が置かれました。

ですから、冒頭に触れた「70歳への引き上げ」についても、もし将来的に決まったとしても、ある日突然変わることはまずありません。

「今のルール」を正しく把握しつつ、これから数年、十数年かけて行われるであろう「緩やかな変化」のニュースを、落ち着いてチェックしていくのが一番の防衛策です。

シニア世代が今から準備すべき「3つの心得」

「私たちの代はもう70歳までもらえないの?」と不安を感じている方も多いはずです。

しかし、2026年現在の正確な情報を知れば、決して恐れる必要はないことがわかります。むしろ、「自分で選べる自由」が増えているのが今の制度です。

今回は、シニア世代の皆さまが安心してセカンドライフを描くために、今すぐ実践したい「3つの心得」をお伝えします。

【心得その一】「原則65歳」は変わっていないと知る

まず、最も大切な事実は、「年金の受け取り開始は今も変わらず65歳が原則」ということです。

「70歳からになる」という話の正体は、支給年齢の引き上げ(義務化)ではなく、年金をもらうタイミングは自分で決めることができるという点です。

  • 原則:65歳からもらう
  • 早める(繰上げ):60歳から64歳の間でもらう(金額は減る)
  • 遅らせる(繰下げ):66歳から75歳の間でもらう(金額が増える)

世間で「70歳から」と言われているものの多くは、「健康で働けるうちは70歳まで受け取りを遅らせて、その分もらえる月額を増やしませんか?」という国からの提案(選択肢)のことなのです。

70歳まで待つと、どれくらい増える?

もし65歳でもらえるはずの年金を70歳まで我慢して受け取り始めると、もらえる額は42%もアップします。この「増えた金額」は、亡くなるまで一生変わりません。「長生きした時の蓄えが心配」という方にとっては、非常に強力な味方になります。

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2026年最新ニュース:働くシニアに追い風!

2026年4月からは、働きながら年金をもらう際のルール(在職老齢年金)が大きく改善されます。

  • 改正前: お給料と年金の合計が「月50万円(2025年時点は51万円)」を超えると年金がカット。
  • 改正後(2026年4月〜): 合計が「月62万円」までなら、年金が1円もカットされず満額もらえます。

つまり、「70歳まで待たされる」のではなく、「65歳から年金を満額もらいつつ、少しでも長く働いて収入を増やす」ことがよりしやすい環境になるのです。

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在職老齢年金の引き上げとは
ここでは、この「新しい年金ルール」が、具体的にどう変わるのか、そしてそれが皆さんの今後の働き方や、毎日の暮らしにどんな良い影響をもたらすのかを、とことん分かりやすくお伝えしていきます。

【心得その二】「健康」を最大の資産として管理する

年金を何歳からもらうか決める際、一番の鍵となるのは「ご自身の健康」です。

年金制度は現在、最長75歳まで受け取りを遅らせることが可能です。70歳まで待てば42%増、75歳まで待てば84%増と、増え幅は驚くほど大きいですが、これは「長生きすること」が前提の損得勘定です。

準備すべきこと

  • 健康寿命を意識する: お金が増えても、使う元気がなければ意味がありません。「何歳まで元気に旅行に行けるか?」をリアルに想像してみましょう。
  • 無理のない就労計画: 2026年の改正で、月収62万円までなら年金が減らなくなります。「フルタイムで70歳まで」ではなく、「週3日のゆとりある仕事で65歳から年金併用」という選択も、心身の健康にはプラスかもしれません。

【心得その三】老後の生活費のシミュレーションをしておく

「まだ先のことだから」「面倒くさい」と感じるかもしれませんが、老後の生活を安心して送るためには、年金の手取り額が生活費に足りるのかどうか、早めに知っておくことが重要です。

総務省の調査では、シニア夫婦の平均的な生活費は、年金の手取りを少し上回る傾向にあります。年金が「生活の柱」であることは間違いありませんが、もし不足するなら、現役のうちから「あといくら貯蓄が必要か」「のように資産を取り崩していくか」などの準備を始められます。

準備のポイント

「ねんきんネット」と「公的年金シミュレーター」を使う

ご自身の年金額を調べるのに便利なのが、日本年金機構が提供しているサービスです。

ねんきんネット:これまでの保険料の支払い記録や、将来の年金見込額をいつでも確認できます。

公的年金シミュレーター:「いつまで働くか」「いつから年金を受け取り始めるか」など、いくつかの条件を変えて、将来の年金額がどう変わるかを簡単に試算できます。

参考記事【シニア向け】年金の手取りはいくら?損しないための「年金シミュレーション」が大事!

【シニア向け】年金の手取りはいくら?損しないための「年金シミュレーション」が大事!
この記事では、年金から何がどれくらい引かれるのかを、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすくご説明します。そして、ご自身の年金生活をしっかり設計するために、「シミュレーション」がいかに大切かをお伝えします。

まとめ:あなたのペースで「出口」を決めていい

年金が70歳からになる」といったニュースは、どうしても不安を煽るような形で伝わりがちですが、これまでの歴史を振り返ると、国も皆さまの生活に配慮して、何十年もかけて非常にゆっくりとルールを変えてきていることがわかります。

2026年からの新ルールは、「元気なうちは働いて、年金もしっかり受け取る」という生き方を強力に後押ししてくれます。国に決められるのではなく、自分の体調や預貯金に合わせて、もらう時期を自由にカスタマイズできる。そう前向きに捉えてみませんか?

シニア世代の皆さまにとって、最も大切なのは「正しい情報を知って、自分のペースで人生を設計すること」です。


皆さまのこれからの生活が、より豊かで安心なものになるよう応援しております。またいつでもお声がけくださいね!

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