銀行や保険窓口で、最近こんな提案をされませんでしたか?
「今は預けても増えない時代です。保障もついて、投資信託のように増える可能性がある『変額保険(へんがくほけん)』を始めませんか?」
この魅力的な言葉に誘われて、多くの方が「変額保険」を契約しています。実際、今、変額保険は空前の売れ行きを見せています。しかし、ここで立ち止まって考えていただきたいのです。
「銀行に預けていても利息がつかないし、かといって投資は怖い……」 そう悩んでいるシニア世代を狙って、銀行や保険窓口で勧められるのが「変額保険」です。
今、この変額保険が空前の売れ行きを見せています。「保障もあって、運用でお金も増える」という魅力的な響きに惹かれる方が多いのですが、結論から申し上げます。
「お金を効率よく増やしたい、守りたい」のであれば、変額保険ではなく「投資信託」を選ぶのが圧倒的に正解です。
その理由をわかりやすく紐解いていきましょう。
なぜ今、変額保険がこれほどまでに売れているのか?

現在、空前の「変額保険ブーム」です。なぜこれほど多くの人が加入しているのでしょうか?
- 歴史的な株高: ここ数年、世界的に株価が上がっていたため、パンフレットに載っている「過去の運用実績」が非常に華やかで見栄えが良いからです。
- 「一石二鳥」の響き: 「亡くなった時の葬儀代(保障)」と「老後の蓄え(運用)」が一つで済むという説明が、合理的に聞こえてしまうからです。
- 対面による安心感: ネット証券で投資信託を買うのは自分一人ですが、保険は窓口の担当者が優しく説明してくれます。この「安心」にお金を払っているシニアの方が多いのです。
しかし、その「安心」の裏側には、投資信託と比較した時の「圧倒的な不利」が隠されています。
変額保険が「圧倒的な不利」な3つの理由

投資信託の方が「コスト」の面で圧倒的に有利
投資において、私たちがコントロールできる唯一の要素は「手数料(コスト)」です。ここで投資信託と変額保険には、埋められないほどの大きな差があります。
投資信託のコスト
投資信託でかかる主な費用は、運用を任せるための「管理費(信託報酬)」です。最近では、この手数料が年率0.1%を切るような、非常に安い商品がたくさんあります。
変額保険のコスト(ここが重要!)
変額保険が売れている大きな理由は、実は「販売側の手数料が高い」からでもあります。あなたが払った保険料からは、以下のものが引かれています。
- 保険契約の維持費・管理費: 保険会社のビル代や人件費
- 死亡保障の費用: 亡くなった時の保険金のためのコスト
- 資産運用関係費: 投資信託と同じ運用手数料
変額保険は、つまり、変額保険は「投資信託(中身)」の周りに「重たい保険の経費(外箱)」がついている状態です。1万円払っても、実際に運用に回るのは8,000円〜9,000円程度。スタートした瞬間から、投資信託に比べて10%〜20%のハンデを背負っているようなものです。投資信託の方が圧倒的に有利なのです。
インフレ(物価上昇)対策なら投資信託
今、私たちの生活を脅かしている「物価上昇(インフレ)」。1,000円で買えていたものが1,200円出さないと買えない状況では、お金をただ持っているだけでは価値が減っていきます。
投資信託は「物価連動」に最適
物価が上がるということは、企業の製品やサービスの値上げが行われるということです。結果として企業の利益が増え、株価が上がります。投資信託(特に全世界の株式を持つタイプ)は、この物価上昇の流れをダイレクトに資産に反映させることができます。
変額保険はインフレに「不向き」
変額保険も株式で運用していればインフレに対応できると言われますが、ここでも「手数料」が邪魔をします。 例えば、物価が2%上がったとしましょう。
- 投資信託:運用で3%増えれば、手数料0.1%を引いても2.9%増(インフレに勝利!)
- 変額保険:運用で3%増えても、保険の経費3%を引かれたら0%増(インフレに敗北……)
高いコストがブレーキとなり、物価上昇のスピードに資産の増加が追いつかないリスクが非常に高いのです。
固定金利の保険はインフレ対策にならない
「うちは変額じゃなくて、利率が決まっている固定金利(定額)の保険だから安心だ」と思っている方も注意が必要です。 今のようなインフレ局面では、固定された低い金利は「資産の目減り」を意味します。 10年、20年と固定された利率よりも、世の中の物価上昇の方が速ければ、受け取る時の保険金の価値は、今よりもずっと低くなってしまうのです。
節税のために変額保険に入るのは「本末転倒」
「生命保険料控除で税金が安くなりますよ」という誘い文句もあります。 確かに、年間で数千円〜1、2万円程度の節税にはなります。しかし、保険会社に払う「管理費」は年間で数万円〜十数万円にのぼることもあります。 「1万円の税金を安くするために、5万円の手数料を払う」。これでは本末転倒です。
そもそも「変額保険」と「貯蓄」は何が違うのか?

多くのシニアの方が「保険」という言葉からイメージするのは、「預けたお金は守られ、そこに少しの利息がつくもの」ではないでしょうか。
しかし、変額保険は私たちが慣れ親しんだ「貯蓄」とは根本的に仕組みが異なります。
つまり、変額保険は、私たちがイメージする『貯蓄』とは全くの別物であります。
「貯蓄」は元本が約束されているもの
銀行預金や、従来の「定額(終身)保険」は、加入した時点で「将来いくら戻ってくるか」が決まっていました。これを「元本保証」や「予定利率の保証」と呼びます。
「変額保険」は「投資の結果」で全てが決まる
変額保険は、支払った保険料を保険会社が株式や債券などで運用します。その名の通り、受け取れるお金が「変動(変額)」するのです。
運用がうまくいけば、確かにお金は増えます。しかし、運用がうまくいかなければ、預けた金額を大きく下回る「元本割れ」を起こします。
「保険だから、いざという時は元本が保証されているのでは?」という期待は、変額保険においては通用しません。特に、自分自身が生きている間に使う「満期金」や「解約返戻金」については、最低保証が一切ないということを、まずは肝に銘じてください。
銀行や保険会社で「保険だから安心ですよ」と言われると、つい「預金のように元本が守られている」と思いがちですが、変額保険には「元本保証がない明確な理由」が3つあります。
ここを理解しておけば、思わぬ損を防ぐことができます。
理由1:中身が「投資信託」そのものだから
変額保険は、名前こそ「保険」ですが、預かった保険料を運用する仕組みは投資信託(ファンド)と同じです。
- 定額保険(普通の保険): 保険会社が「責任を持ってこれくらい増やします」と約束し、主に安全な国債などで運用します。
- 変額保険: 保険会社は運用を肩代わりするだけで、「どこに投資するか」を選び、その結果(リスク)を引き受けるのは契約者(あなた)です。
あなたが選んだ投資先(株式や債券など)が値下がりすれば、その分、解約返戻金や満期金もダイレクトに減ります。「運用をお任せしている以上、その損得はすべて契約者の責任」という契約なので、元本保証がないのです。
理由2:運用成績に関わらず「高い経費」が引かれ続けるから
これが意外と知られていない大きな理由です。 変額保険のマイナス(元本割れ)は、市場の値下がりだけでなく、「引かれる経費」によっても引き起こされます。
変額保険の保険料からは、毎日少しずつ以下の費用が引かれています。
- 死亡保障のコスト: 万が一の時の保険金を用意するための費用
- 管理費: 保険会社の運営費や広告費
- 運用手数料: 投資信託としての運用代
たとえ運用成績が「±0%」で横ばいだったとしても、これらの経費が毎年1%〜3%ほど差し引かれます。つまり、運用でその経費分以上の利益を出さない限り、理論上は必ず元本を割り込んでいく仕組みになっているのです。
理由3:「解約控除(かいやくこうじょ)」というペナルティがあるから
特に加入して10年以内に解約する場合に強力なのが、この「解約控除」です。 これは、早期に解約する人に対して課される、いわば「違約金」のようなものです。
- 加入直後に解約すると、積立金額の5%〜10%といった大きな金額が引かれることもあります。
- 運用がうまくいっていて市場価値が元本を上回っていても、この「解約控除」を引かれた結果、受取額が元本を下回るというケースが多発します。
「死亡保険金」だけは保証されているけれど……
変額保険のパンフレットをよく見ると「最低保証あり」と書いてあることがあります。
しかし、保証されているのは、あくまで「亡くなった時にもらえるお金(死亡保険金)」だけです。
あなたが自分の老後資金として使いたい「満期金」や「解約返戻金」には、一切の最低保証がありません。 「亡くなった時は元本保証だけど、生きている間に使うお金は元本保証ではない」ということです。
まとめ:投資信託の方がメリットが大きい理由

これからの時代、シニア世代にとってのお金の正解は、「保険と運用を完全に分けること」です。変額保険よりも投資信託を選ぶ方が、以下のような大きなメリットがあります。
- 圧倒的な低コスト: 手数料が安いため、あなたの大切なお金が効率よく増える。
- インフレに強い: 高い手数料に邪魔されず、物価上昇に合わせて資産を守れる。
- 透明性が高い: 複雑な保険の仕組みを通さず、自分のお金がどこでどう増えているか一目でわかる。
- いつでも引き出せる: 「解約控除」のようなペナルティを気にせず、必要な時に自分のお金を使える。
変額保険は、一見便利に見えますが、中身は非常にコストの重い商品です。「安心をセットで」という言葉に惑わされず、手数料の安い「投資信託」を賢く活用しましょう。
自分の資産を最大限に活かし、自分自身のために使う。 それが、これからの人生を謳歌するための最良の選択です。


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