「万が一のとき、家族の生活はどうなるのだろう…」と不安になりつつも、「自分は大丈夫」と目を背けてしまったりしていませんか?
しかし、備えを後回しにしていると、いざというときに動けなくなってしまいます。
結論からお伝えすると、「遺族年金はいくらもらえるのか」を正しく知り、ご自身のケースで具体的なシミュレーションを行うことが、不安を解消するための最も確実な第一歩です。
この記事では、専門用語をできるだけ使わず、50代からの定年準備を進めるあなたに向けて、遺族年金の仕組みとリアルな受取額をわかりやすく解説します。
遺族年金ってなに?2つの種類を知ろう
家族を支えていた方が亡くなったとき、残されたご家族に国から支払われるのが「遺族年金」です。
遺族年金には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 遺族基礎年金:国民年金に加入していた方が亡くなった場合や、会社員の方が亡くなった場合に、子どもがいるご家族に支払われます。
- 遺族厚生年金:会社員や公務員など、厚生年金に加入していた方が亡くなった場合に支払われます。
亡くなった方が自営業か会社員かによって、受け取れる年金の種類が変わります。
会社員の場合は、国民年金と厚生年金の両方に加入しているため、条件を満たせば両方を受け取れる可能性があります。
ただし、これらの年金を受け取るためには、保険料の納付状況などの受給要件を満たす必要があります。
遺族基礎年金は「子育て年金」
子どもがいるご家庭向けに支給されるのが「遺族基礎年金」です。
誰が受け取れるの?
亡くなった方に生活を支えられていた「子どものいる配偶者(夫または妻)」、または「子ども(18歳になった年度の3月31日までにある方など)」が受け取れます。
つまり、家計を支える方が亡くなった後、お子さんが高校を卒業するまでの間を支えるため、「子育て年金」とも呼ばれています。
いくらくらい受け取れる?
直近の金額(令和8年度時点)をベースに見てみましょう。子どもがいる配偶者が受け取る場合の遺族基礎年金額は、年額847,300円 + 子の加算額となります。
- 1人目・2人目の子の加算額:各243,800円
- 3人目以降の子の加算額:各81,300円
お子さんの人数によって、受け取れる金額が上乗せされる仕組みになっています。
遺族厚生年金は「もらえる人に優先順位がある」
会社員や公務員の方が亡くなった場合に受け取れるのが「遺族厚生年金」です。
誰が受け取れるの?
遺族厚生年金を受け取れるご家族には、法律で決まった優先順位があります。
- 子どものいる配偶者
- 子ども
- 子どものいない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
最も優先順位の高い方が受け取ることになります。
なお、妻の年齢や子どもの有無などによって、受給期間や条件が変わる点には注意が必要です。
いくらくらい受け取れる?
遺族厚生年金の金額は、亡くなった方が生前受け取るはずだった「老齢厚生年金」の約4分の3が目安となります。
報酬比例部分の計算など詳細に迷ったら、ご自身のスマホやパソコンから「ねんきんネット」にログインするか、毎年届く「ねんきん定期便」を見て、これまでの加入状況を確認してみましょう。
遺族年金だけで大丈夫?リアルなシミュレーションをしてみましょう

「遺族年金があるから大丈夫」と安心していませんか? ここで、「ねんきん定期便」のデータとも連動させながら、具体的なモデルケースで金額を計算してみましょう。
家族構成と条件のモデルケース
- 亡くなった方:会社員(40歳)、平均標準報酬額 40万円
- 残されたご家族:妻(38歳)、子ども3人(12歳・10歳・8歳)
このモデルケースにおいて、夫の加入期間を40歳時点(約15〜18年想定)とし、これまでの加入実績や標準報酬額をもとに計算すると、受け取れる公的年金の具体的なイメージと合計額は以下のようになります。
子どもが小さいうち(遺族基礎年金+遺族厚生年金が受け取れる期間)
妻と3人のお子さんには、「遺族基礎年金」(基本額847,300円+子3人分の加算:1・2人目各243,800円+3人目81,300円=合計1,417,500円)と、夫の厚生年金をベースにした「遺族厚生年金」(このモデルケースの加入期間を前提とすると、年額約50万〜60万円前後)が両方支給されます。
- 年間の受給額の目安:約190万円〜200万円前後(月額換算で約16万円〜17万円程度)
子どもが成長したあと(中高齢寡婦加算の期間)
一番下のお子さんが18歳年度末を迎え、遺族基礎年金の受給が終了したあとも、夫の死亡時に38歳であった妻は、40歳到達以降に「中高齢寡婦加算」(令和8年度の満額で年額635,500円)が遺族厚生年金に上乗せされます。
- 年間の受給額の目安:遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が合わさり、約110万円〜130万円前後(月額換算で約9万円〜11万円程度)が、妻が65歳で自身の老齢年金を受け取るまで支給されます。※なお、遺族厚生年金自体の金額は子どもの人数によって変動するものではありません。
「夫の年金の4分の3」ではない? よくある誤解
「遺族年金は亡くなった人の年金の4分の3と聞きました。夫は月18万円くらいもらっていたので、月13.5万円ほどもらえると思っていたのに、実際の金額は月5.2万円でした。思っていた額の3分の1しかもらえませんでした。もう少し調べたらよかったです。」
このようなケースは少なくありません。
ご自身も会社勤めをしていて自分の老齢厚生年金を受け取る権利がある場合、65歳以降にダブルで満額もらえるわけではありません。「ご自身の老齢厚生年金」が全額支給され、遺族厚生年金はその分が差し引かれて調整(差額分のみ支給)される仕組みになっています。
そのため、共働き夫婦ほど「実際に受け取れる金額を計算してみたら、思っていたよりも少なかった」ということが起きるのです。
ご自身の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、将来の受給見込み額を一度チェックしてみることが何よりも大切です。
遺族年金だけで教育費は足りない?
遺族年金は、あくまで残されたご家族の「生活費」を支えるためのものです。これから大きくなるお子さんの教育費まで、すべてをカバーすることは難しい場合があります。
日本政策金融公庫の調査などによると、高校入学から大学卒業までにかかる費用(入学費用や在学費用の合計)は、まとまった金額になります。特に大学進学時には大きな資金が必要になるため、遺族年金だけでは備えが足りなくなる可能性があります。
万が一のときに備えて、生活費以外の教育費などは、掛け捨て型の生命保険(収入保障保険や定期保険など)を活用して、必要な時期に必要最低限のコストで補うことも一つの方法です。
参考記事:もしもの時に家族を守る!「収入保障保険」で叶える賢い生命保険の見直し

知っておきたい年金制度のポイント(法改正について)
年金制度は時代に合わせて見直しが進められており、遺族年金についても将来に向けた改正が進められています。子どものいない配偶者に対する遺族厚生年金の「5年有期化」や、男女差の解消、子どもの加算額の引き上げなどが盛り込まれています。また、妻だけに手厚いとされてきた「中高齢寡婦加算」についても、男女平等の観点から段階的な見直し(縮小)が予定されています。
なお、現在すでに子育て中の方や、将来65歳以降に受給権が発生する世代、あるいは一定年齢以上の方には手厚い経過措置が設けられる予定です。過度に不安になる必要はありませんが、今後の制度変化やご自身の老後を見据えて、早めにNISAやiDeCoなども含めた自衛策を考えておくことが大切です。
詳しい最新の動向や制度の全体像については、厚生労働省の公式案内や、関連する遺族厚生年金の見直しについてのページもあわせて参考にしてみてください。
まとめ:まずはシミュレーションから始めよう

遺族年金は、残された家族の生活を守るための心強い国の制度です。
- 「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、ご自身の加入状況を確認する。
- 万が一のときに、遺族年金がいくらくらいになりそうか大まかに把握する。
- 足りない部分が見えたら、貯蓄や民間の保険で無理なく補う計画を立てる。
ご家族の今後のライフプランを「見える化」することで、将来の漠然とした不安をスッキリ解消することができます。
もし、ご自身でシミュレーションをしてみても「うちの場合はどうなるのだろう?」と迷ってしまうときは、お近くの年金事務所や街の専門窓口で相談してみるのが一番確実で安心です。
50代からの定年準備の一歩として、まずはご自身の年金記録の確認から始めてみませんか?
【免責事項】
本記事で紹介している情報やシミュレーション例は、一般的な制度の仕組みをもとに分かりやすく解説したものです。年金制度や受給額は、個人の加入状況、年齢、家族構成、法令改正等によって大きく異なります。正確な受給見込み額や詳細な要件については、必ず日本年金機構の公式ホームページや、お近くの年金事務所・専門家にご確認いただきますようお願いいたします。実際の決定にあたって生じた損害等について、当ブログは一切の責任を負いかねますのでご了承ください。


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