ドルコスト平均法ってなに?難しそうと敬遠するシニアが知るべき「ほったらかし投資」の基本と注意点

STEP3【育てる】資産を育てる「50代はなにから始めたらいいの?」

「投資に興味はあるけれど、いつ買っていいかわからない…」

「まとまったお金がないと始められないんでしょ?」

「ニュースで株価の上下を見ると、怖くて手が出せない…」

そんな不安を抱えていませんか?

「退職金やこれまでの貯蓄で少しずつ資産運用を始めたいけれど、タイミングを間違えたらどうしよう」と悩むシニアの方は少なくありません。高値掴みを恐れるあまり、結局銀行の預金口座に入れたままにしてしまうケースもよく見られます。

実は、そんな投資初心者やシニアの不安をスッキリ解消してくれる心強い味方があるのです。それが「ドルコスト平均法」という買い方のコツです。

国(金融庁)の公式資料でもその重要性が解説されているこの「コツコツ投資」の仕組みを、専門用語を使わずにわかりやすく解説します。事前に知っておくべきデメリットや「一括か積立か」の疑問までしっかり網羅しているので、ぜひ参考にしてください。

1. 結論:ドルコスト平均法とは「毎月、決まった金額ずつ買い続ける」こと

結論からお伝えすると、ドルコスト平均法とは、「毎月(あるいは定期的に)決まった金額ずつ、同じ投資商品を買い続ける方法」のことです。

たとえば、「毎月1万円ずつ、お気に入りのパンを買い続ける」とイメージしてください。パンの値段が1個200円のときは5個買えますし、もし値上がりして1個250円になったら4個しか買えません。逆に、バーゲンセールで1個100円に下がったら10個も買えますよね。

投資の世界でもこれと全く同じことをします。価格が毎日変わる投資信託などの商品を、「毎月1万円」と決めた予算の範囲内で、高いときには少なく、安いときにはたくさん買い付けていくのです。

このシンプルなルールを守るだけで、相場の値動きに一喜一憂することなく、自然と賢い買い物ができてしまうのがこの方法のすごいところです。

2. 理由:なぜ「タイミングを考えなくてよい」のか?

では、なぜこの方法がシニア世代の資産運用におすすめなのでしょうか。その理由は、「プロでも難しい『安いときに買って高いときに売る』というタイミングの読みを、自動的にやってくれるから」です。

私たちがやりがちな失敗は、「株価が上がっているから今だ!」と慌てて飛びついて買い、下がったときに怖くなって慌てて売ってしまうことです。これでは、高いところで買って安いところで売るという、もっとも損をするパターンになってしまいます。

しかし、ドルコスト平均法であれば、買うタイミングを悩む必要が一切ありません。

  • 価格が高いとき: 買える口数が少なくなるため、高値でドカンと大金をつぎ込むリスクを防げます。
  • 価格が安いとき: 予期せぬ下落でも「たくさん口数が買えるチャンスだ」と前向きにとらえられます。

価格が下がったときにも精神的なショックが和らぎ、価格の波に翻弄されず長く安心して続けられるというわけです。

3. 具体例:お小遣い帳感覚でわかる「平均購入価格」の仕組み

ここで、もう少し具体的に数字を使ってイメージしてみましょう。毎月1万円ずつ、ある投資信託を3ヶ月間買い続けた場合のイメージは以下の通りです。

  • 1ヶ月目: 価格が1口「1万円」のとき $\rightarrow$ 1口 購入
  • 2ヶ月目: 価格が「5,000円」に下がったとき $\rightarrow$ 2口 購入
  • 3ヶ月目: 価格が「1万円」に戻ったとき $\rightarrow$ 1口 購入

この3ヶ月間で合計いくら使って、何口手に入ったでしょうか?

  • 使った金額の合計:3万円(1万円 $\times$ 3ヶ月)
  • 手に入った口数の合計:4口(1口 + 2口 + 1口)

ここで注目してほしいのが、「平均購入価格」です。

3万円で4口手に入ったわけですから、平均すると1口あたり「7,500円」で買ったことになります。3ヶ月目の価格は1万円に戻っているため、「7,500円で買った1口が今1万円に」なり、価格が元に戻っただけでしっかり含み益が発生する状態になります。

途中で価格が半分に下がったにもかかわらず、下がったときにたくさん買ったおかげで、価格が元通りになっただけでプラスになる。これが、ドルコスト平均法が持つ最大のマジックです。

4. デメリット:知っておくべき「一括投資」との違いと弱点

万能に見えるドルコスト平均法ですが、はっきりと知っておくべきデメリット(弱点)があります。それが「最初から全額を買う『一括投資』と比べて、どのような場面で利益が小さくなるのか?」という点です。

金融庁が一般向けに公表している解説資料(金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」や関連する資産形成の啓発資料など)でも触れられている通り、ドルコスト平均法は「価格が下がったときにたくさん買う」仕組みです。そのため、最初から最後まで株価がずっと上がり続けた(上昇相場だった)場合においては、最初にまとめて全額を買っておいたほうが、その後の値上がり恩恵を最大限に受けられるため利益が大きくなります。

右肩上がりの相場においては、コツコツ買う手法は「一括買いに比べて利益が出にくい(機会損失がある)」というデメリットを抱えています。

シニアの資産運用で最も大切なこと

「それなら一括投資のほうが得ではないか」と思われるかもしれませんが、現実の相場において「これから先、相場がずっと上がり続けるか、大暴落が来るか」を完璧に予測することは誰にもできません。もし「これから上がるはずだ」と退職金などのまとまったお金を一度につぎ込んだ直後に大暴落が起きたら、高値掴みで大切な資産が大きく目減りし、精神的にも耐えられなくなってしまいます。

シニアの資産運用において最も大切なのは、大儲けを狙うことではなく「大ケガを避けて、安心して長く続けること」です。

ドルコスト平均法は、右肩上がりの相場では利益が劣るというデメリット(いわば安心のための保険料)を払う代わりに、「いつ始めても高値掴みの大失敗を防ぎ、心穏やかに続けられる安心感」を買っているのです。

なお、いざ老後にお金が必要になったときの売り時は、定年退職後にすべてを一度に売る必要はなく、「生活費に合わせて必要な分だけ少しずつ現金化(取り崩し)」していけば問題ありません。

5. 行動:今日からできる!「ほったらかし投資」を始めるためのステップ

デメリットやリスクも正しく理解した上で、今日から一歩を踏み出すための具体的な手順をご紹介します。

ステップ1:少額から設定できる「新しいNISA」の口座を作る

まずは、利益に税金がかからなくなる国のお得な制度である「新NISA」の口座を、お近くの金融機関で作りましょう。インターネットや郵送で簡単に申し込むことができます。

ステップ2:毎月ムリのない金額を決める

生活費を切り詰めてまで投資する必要はありません。「毎月5,000円」や「毎月1万円」など、万が一相場が一時的に下がっても夜ぐっすり眠れる、ご自身が安心できる金額を設定します。

ステップ3:商品は「世界全体に分散するタイプ」を選ぶ

初心者のシニアの方には、一つの会社の株を買うのではなく、日本を含む世界中のたくさんの企業にまるごと投資できるような「投資信託」がおすすめです。どこか一つの国が不調でも、他の国がカバーしてくれるため安心感が高まります。

ステップ4:あとは「自動引き落とし」にして忘れる

金融機関で一度「毎月◯日に自動で積み立てる」設定をしてしまえば、あとは完全にほったらかしで大丈夫です。毎日の株価のチェックは必要ありません。お庭の木に毎日少しずつ水をやるような感覚で、長い目で育てていきましょう。

まとめ

ドルコスト平均法には、右肩上がりの相場では一括投資に比べて利益が小さくなるという明確なデメリット(弱点)があります。

しかし、未来の相場を完璧に予測できない私たちが、高値掴みの恐怖に怯えることなく資産を育てていくための最も現実的な知恵がこの方法です。シニアの資産運用において最も大切なのは、大儲けを狙うことではなく「大ケガを避けて、安心して長く続けること」にほかなりません。

メリットだけでなくデメリットも正しく理解した上で、自分のペースで安心して続けられる「ほったらかし投資」を味方につけ、これからのセカンドライフを豊かにしていきましょう。

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