最近、テレビのニュースや新聞広告で「金の価格が史上最高値を更新!」という言葉をよく目にしませんか?街の買取店に行列ができていたり、金地金の販売店が整理券を配っていたりするのを見ると、「今からでも金を持っていたほうがいいのかしら?」「本当に儲かるの?」と気になりますよね。
今日は、投資の難しい話は抜きにして、シニア世代の私たちが知っておきたい「金投資のホントのところ」を、どこよりも分かりやすくお話しします。
そもそも「金(ゴールド)」って何がすごいの?

「金」と聞くと、キラキラした指輪やネックレス、あるいは時代劇に出てくる小判を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、投資の世界での「金」はちょっと特別な存在です。
価値がゼロにならない「究極の守り神」
一番の特徴は、「金そのものに価値がある」ということです。 例えば、銀行に預けているお金や、持っている株。もし銀行が倒産したり、会社が潰れたりしたら、その価値は一気に下がってしまいます。
しかし、金は数千年前のエジプト文明の時代からずっと「価値があるもの」として認められてきました。この世に存在する量も限られています。だから、世界がどんなに混乱しても、金が全くの無価値になることはありません。これが、金が「安全資産」と呼ばれる理由です。
「インフレ」に強い!
最近、スーパーで買い物をしていて「昔より高いね」と感じることはありませんか? 野菜や卵、光熱費が上がることを「インフレ(物価上昇)」と言います。インフレになると、同じ1,000円で買えるものが減ってしまいます。つまり「お金の価値が下がっている」状態です。
一方で、金は「モノ」なので、物価が上がると金の値段も一緒に上がる傾向があります。自分たちの資産をインフレから守ってくれる、頼もしい味方なのです。
金の価格は具体的にどれくらい上がっているの?

「昔に比べて高くなった」とは聞くけれど、具体的にどれくらい上がったのか。驚きの数字を見てみましょう。
30年前・50年前と比較すると……
金の価格(国内小売価格の目安)は、驚くべき勢いで上昇しています。
| 年代 | 1グラムあたりの価格(目安) |
| 50年前(1970年代) | 約1,000円〜1,500円 |
| 30年前(1990年代) | 約1,000円〜1,300円 |
| 10年前(2010年代) | 約4,500円〜5,000円 |
| 現在(2026年) | 約25,000円〜29,000円前後 |
なんと、約30年前(1998年には史上最安値の865円を記録しました)に100万円分買っていたとしたら、今は3,000万円近い価値になっている計算です。
「あの時買っておけば……」と思ってしまうような上がり方ですよね。
なぜこんなに上がっているの?
理由は大きく分けて3つあります。
- 世界情勢の不安: 戦争や紛争が起きると、株より安心な金を買う人が増えます。
- 円安の影響: 金は世界中で「ドル」で取引されます。円安になると、日本円で買う時の値段がグンと跳ね上がります。
- 希少性: 金は地球上に存在する量が決まっており、新しく採掘するのがどんどん難しくなっています。
金投資は「儲かる」のか、それとも「増える」のか?
ここが一番気になるポイントですよね。結論からお伝えしましょう。
「金は、ドカンと儲けるためのものではなく、大切な資産を守るためのものです」
「昔買った金が30倍になった」というのは、あくまで結果論です。
金は持っているだけでは利息もつきませんし、配当もありません。 金投資の真髄は、「卵を一つのカゴに盛るな」という教えにあります。
現金、不動産、そして金。このように資産を分けて持っておくことで、もし日本円の価値が下がっても、金がカバーしてくれます。
シニア世代におすすめの「金の持ち方」4選

自分に合った方法を選びましょう。最近注目の「金ETF」についても解説します。
① 金貨(コイン)を買う
一番手軽で、夢がある方法です。
- 良いところ: 数万円から購入でき、見た目も美しい。
- 注意点: 小さな傷がつくと価値が下がることがあるので、ケースに入れて保管しましょう。
② 金ETF(きんイーティーエフ) ★注目!
「金を持ちたいけれど、盗難が怖いし、どこに置けばいいかわからない」という方に最近人気なのが、この「金ETF」です。 簡単に言うと、「証券会社を通じて、金の価格に連動する『証券(権利)』を買う」という仕組みです。
- 良いところ: 証券口座で管理するので、盗難や紛失の心配がゼロ。手数料が最も安く、スマホなどで1株単位(数千円〜)から売買できます。
- 注意点: 証券口座を作る必要があります。手元に「キラキラした本物の金」が届くわけではありません。
③ 純金積立(じゅんきんつみたて)
毎月「3,000円」など決まった額をコツコツ買い続ける方法です。
- 良いところ: 買い時の判断が不要です。「高い時は少なく、安い時は多く」自動で買ってくれるので、損をしにくい買い方です。
④ 金地金(インゴット・金の延べ棒)
いわゆる「金の塊」です。まとまった退職金などで大きく持ちたい人向けです。
投資信託で金を持つのは「アリ」?その特徴と魅力

投資信託とは、運用のプロにお金を預けて代わりに運用してもらう商品ですが、その中に「金(ゴールド)」を専門に扱うものがあります。
投資信託で金を持つ「3つのメリット」
- お釣り感覚!「100円」から投資ができる金貨や延べ棒を買うには数万〜数十万円が必要ですが、投資信託なら銀行や証券会社で「100円」や「500円」から買えます。スーパーでの買い物ついでに余った小銭で金を買う、といった感覚で始められます。
- 「新NISA(ニーサ)」が使える!ここが最大のポイントです。通常、投資で儲けた利益には約20%の税金がかかりますが、「つみたて投資枠」や「成長投資枠」を使って金の投資信託を買えば、利益に税金がかかりません。シニア世代にとって、この節税メリットは非常に大きいです。
- 管理がとにかく「楽」「金ETF」は株のように自分で注文を出して買う必要がありますが、投資信託は一度設定してしまえば、あとは自動で銀行口座から引き落として積み立ててくれます。通帳を見るだけで資産が増えているか確認できるので、スマホ操作が苦手な方でも安心です。
ここは注意!デメリットと賢い選び方
- 「信託報酬(管理費)」がかかるプロに管理を任せるため、毎年少しずつ「管理費用」が引かれます。選ぶときは、この費用が「年率0.2%前後」などの、できるだけ安いものを選ぶのがコツです。
- 現物は手に入らない金ETFと同様、手元に実物が届くわけではありません。「金そのものの感触を楽しみたい」という方は、やはり金貨などが向いています。
【徹底比較】結局、どの持ち方が一番いいの?
自分にぴったりの方法を、こちらの表でチェックしてみてください。
| 持ち方 | 向いている人 | 手軽さ | 安心感(現物) |
| 金貨・地金 | 本物を手元に置いておきたい人 | △(お店に行く手間) | ◎(実物がある!) |
| 純金積立 | 貴金属店でコツコツ貯めたい人 | ◯(自動積立) | ◯(将来現物でもらえる) |
| 金ETF | 安い手数料で、株のように売り買いしたい人 | ◯(ネットで完結) | ×(数字のみ) |
| 投資信託 | NISAを使って、少額から自動で貯めたい人 | ◎(100円からOK) | ×(数字のみ) |
【よくある質問】シニアが気になる3つの疑問
Q1. 金を売った時、税金はどうなるの?
A. 利益が「年間50万円」までなら、税金はかかりません。 金を売って得た利益には年間50万円の特別控除があります。大きな金額を一度に売らなければ、税金がかからないケースも多いです。
Q2. 偽物を買わされないか心配です。どこで買えばいい?
A. 「日本金地金流通協会」の登録店など、大手のお店を選びましょう。 田中貴金属工業、三菱マテリアルなどの老舗や、大手百貨店、大手証券会社であれば間違いありません。怪しい訪問販売などは絶対に断ってください。
Q3. 「売り時」はいつ?今が高すぎる気がするのですが……。
A. 資産を守る目的なら、いつ買っても遅くはありません。 「今が高いから下がってから買おう」と待っている間に、さらに値上がりすることもよくあります。一度に全部買わず、少しずつ時期をずらして買い足していくのがコツです。
まとめ:金投資は「心の安らぎ」への投資

金投資は、「明日をバラ色にするためのギャンブル」ではなく、「老後の安心をより確かなものにするための備え」です。
金を持っておくことで、「もし明日、世界で大きなニュースがあっても、私の金があるから大丈夫」という心の余裕が生まれます。その余裕こそが、シニア世代にとっての最大の利益かもしれません。
「金投資をやってみたいけど、大きな額は怖い……」という方は、まずは「投資信託で月々1,000円」くらいから始めてみるのが一番の近道です。
「今月は金が100円分値上がりしたわ」と、値動きを眺めるだけでも社会の動きに敏感になれますし、何より「自分の資産が守られている」という安心感が、日々の生活を穏やかにしてくれます。
金は、あなたの大切な老後資金を守る「守護神」です。無理のない範囲で、ゆっくりと付き合ってみてくださいね。

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