老後の資金、そろそろ真剣に考えないと……と思いつつ、日々の経営や業務に追われているシニア経営者や個人事業主の方は多いはず。
会社員と違って退職金を自分で用意しなければならない自営業者にとって、最強の味方となるのが小規模企業共済です。
「会社を辞めて個人で起業しました。退職金はありません。」
「iDeCoと小規模企業共済、どちらがいいですか?」
今日はこの疑問に、対話形式でわかりやすく解説します。
そもそも小規模企業共済とは?
一言でいうと、経営者・個人事業主のための退職金制度です。
運営しているのは中小企業基盤整備機構であり、会社員のような退職金制度がない人のために作られた、国の制度です。
個人で起業した場合、入れますか?
例えばこんな方が加入できます
✔ 60歳で会社を早期退職
✔ 退職金を元手に個人事業をスタート
✔ 法人成りせず一人で仕事
なぜ個人起業こそ必要?
会社員時代は退職金がありました。
でも個人事業主は違います。
👉 事業をやめた時に受け取れるお金がない
だからこそ、小規模企業共済は
「第二の退職金づくり」
になるのです。
いくら積み立てられますか?
月額1,000円から7万円の間(500円単位で自由設定)で決められます。「後から増減できる」ので、まずは無理のない金額からスタートするのがコツです。
現在の利回りはどれくらい?
小規模企業共済は投資商品ではありません。
✔ 値動きなし
✔ 基本は元本ベース
20年以上続ければ元本以上になりやすい設計です。
実質利回りは年1%前後といわれることが多いですが、本当のメリットはここです。
掛け金が全額「所得から差し引ける」
つまり、税金が安くなります。
例えば
年収500万円の個人事業主が
年間60万円積み立てると、
👉 その60万円分にかかる税金が軽くなる。
この節税効果を含めると、
実質的な利回りはもっと高くなることがあります。
小規模企業共済ってどれくらいの規模なの?
加入者は約160万人以上。
総保有額は十数兆円規模。
これは、日本の投資信託全体(約200兆円超)の約6〜7%程度の規模です。
例えば、
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、数兆円規模の純資産があり、 人気投資信託が数本集まると、小規模企業共済全体に近い規模というイメージです。
つまり、
✔ 非常に大きな制度
✔ 多くの経営者が利用
という安心材料があります。
小規模企業共済とiDeCoの違い
iDeCoとどう違うのですか?
ここが一番迷うところですね。答えは目的次第です。
✔ 安定重視 → 小規模企業共済
✔ 増える可能性重視 → iDeCo
両方やる人も多いです。
整理しましょう!
iDeCo(個人型確定拠出年金)
✔ 掛け金全額が所得控除
✔ 自分で運用商品を選ぶ
✔ 値動きあり
✔ 原則60歳まで引き出せない
小規模企業共済
✔ 掛け金全額が所得控除
✔ 値動きなし
✔ 廃業・退任時に受取
✔ 貸付制度あり
比較表
| 項目 | 小規模企業共済 | iDeCo |
|---|---|---|
| 目的 | 退職金 | 老後年金 |
| 元本保証 | 基本安定型 | 商品次第 |
| 増える可能性 | 小さい | 大きい可能性あり |
| 減る可能性 | ほぼなし | あり |
| 途中引出 | 原則不可 | 原則60歳まで不可 |
| 貸付制度 | あり | なし |
小規模企業共済 と iDeCo 結局どっちがトクですか?
どちらも掛け金が全額、税金の計算から差し引ける(所得控除)という点は同じですが、シニア世代にとっては中身が大きく異なります。
守りの共済か、攻めのiDeCoか
小規模企業共済(守り):国が運用を代行。利率はほぼ固定(予定利率1.0%)で、着実に増えます。絶対に減らしたくない退職金を作るのに最適です。 iDeCo(攻め):自分で投資信託などの商品を選びます。大きく増やせるチャンスがある反面、元本割れのリスクも自己責任です。
出口の自由度の違い
iDeCo:原則として60歳まで1円も引き出せません。急に現金が必要になったという時に対応できないのが、シニア世代には少し不安な点です。 小規模企業共済:廃業した時はもちろん、どうしてもお金が必要なら任意解約でお金を受け取れます(※加入期間が短いと元本割れしますが、出口がある安心感は大きいです)。
お金を借りられるのが小規模企業共済の最大の強み
これが決定的な差です。iDeCoは積み立てたお金を借りることはできませんが、小規模企業共済には後述する貸付制度があります。経営者にとって、手元の資金がショートしそうな時に自分の積立金から低利で借りられるのは、最強の防衛策になります。
小規模企業共済の貸付制度について教えてください。
経営者のピンチを救う 貸付制度
これが大きな特徴です。
積み立てた範囲内で
低金利で借りられる制度があります。経営者のピンチを救う 貸付制度
iDeCoにはない、小規模企業共済だけの特権が契約者貸付です。
これは、自分が積み立てたお金の範囲内(掛金の7割から9割程度)で、即座に低金利でお金を借りられる仕組みです。
・無担保・無保証人
・窓口で即日〜数日で送金
・金利は年1.5%程度(※制度により異なります)
退職金を積み立てているけれど、今月の支払いが厳しい……という時でも、解約せずにそのお金を一時的に活用できる。この安心感は、変化の激しい現代の経営者にとって何物にも代えがたいメリットです。
金利は?
👉 年1%台前半程度
銀行やカードローンより低い水準です。
起業したばかりの時期は
資金繰りが不安定になることもあります。
そんなときの“安全網”になります。
定年後、起業を考えていますが、加入した方がいいですか?
個人で起業した時の場合の「守りの柱」
定年後にこれまでのスキルを活かして「ひとり起業」を検討している方、すでに始めた方も多いはず。実は、小規模企業共済は起業1年目が最高のタイミングです。
会社員時代の貯金を退職金にスライド
会社を辞めた際の手元の資金を、少しずつ小規模企業共済に積み立てていきましょう。起業した事業の利益からその分が差し引かれるため、所得税を抑えつつ自分への退職金を再構築できます。
定年のない人生に区切りを作る
個人事業主には強制的な定年がありません。しかし、小規模企業共済は、自分の意思で廃業した時が満期です。70歳でも75歳でも、自分で「ここまで頑張った!」と決めた瞬間に、税遇された退職金を手にすることができるのです。
個人で起業すると、
✔ 退職金なし
✔ 社会保障も自己責任
になります。
だからこそ、
「やめるときの安心」を作る
ことが大切です。
小規模企業共済は“守りの柱”。
iDeCoは“育てる選択肢”。
どちらが正解ではなく、あなたの働く年数で決めるのがコツです。
申し込みの方法について教えてください。
手続きは意外とシンプルです。
- 必要書類を揃える 確定申告書の控え(開業したばかりなら開業届の控え)、引き落とし用の通帳・印鑑、本人確認書類を用意します。
- 窓口へ行く 商工会や商工会議所、またはお付き合いのある銀行・信用金庫の窓口へ。「小規模企業共済の申し込みをしたい」と伝えれば案内してもらえます。(※ネット銀行は不可)
- 掛金額を決める 月額1,000円から7万円の間で設定します。後から増減もできるので、無理のない金額から始めましょう。
まとめ:結局、どちらを優先すべき?

まずは小規模企業共済を優先! 理由は、元本割れのリスクが極めて低いことと貸付制度という逃げ道があることです。シニア世代は、一度失った資産を取り戻す時間がありません。まずは確実な守りを固めましょう。
余裕があればiDeCoをプラス。 共済で退職金のベースを確保した上で、さらに節税したい場合にiDeCoを追加するのが賢い二段構えです。
50代・60代は、攻めるだけでなく守りを固める時期。あなたの頑張ってきた証を、しっかりとした形に変えていきましょう!
この記事が、皆さんの豊かなセカンドライフへの一助となれば幸いです。


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